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脳内モロッコトリップができる調味料“HARISSA”|PAPERSKY food club

ここ最近、ずっとつくり続けている調味料がある。北アフリカ料理ではよく使われている「HARISSA(アリッサ)」。初めて口にしたのは、確かまだ10代だった頃。パリの北アフリカ料理屋で出された煮込み料理に添えられた真っ赤なソ […]

06/15/2015

ここ最近、ずっとつくり続けている調味料がある。北アフリカ料理ではよく使われている「HARISSA(アリッサ)」。初めて口にしたのは、確かまだ10代だった頃。パリの北アフリカ料理屋で出された煮込み料理に添えられた真っ赤なソースがそのアリッサだった。にんにくが効いた辛くてスパイシーな味。でもまだ子どもだったから、「ああ、あのソース美味しかったな」くらいの記憶。それから年月が過ぎて、10年くらい前に初めてモロッコへ行き、タジンとクスクスを食べたときにアリッサが出てきて、「わ! あの美味しい辛いのだ!」って嬉しくなって、食べた。でも、だいぶ味が違うなと思ったら市販のモノで「ちょっと辛いだけのチリペースト」だった。モロッコではこれが一般的なのか、どこへ行っても同じものが出てくる。昔パリのレストランで食べたのは手づくりだったのか。それならば、もう自分でつくるしかないと、スパイスを集めてペースト状のものと、ホールスパイスだけできた2種類をつくった。「うーん、やっぱり手づくりは美味しい! この味をみんなに伝えたいな。」とモロッコ料理教室ではセルフブレンドでつくるアリッサを教えている。
エスニックな肉や野菜の煮込みやスープにはもちろん合うが、香味野菜と胡麻を和えた蕎麦、素麺、納豆や冷や奴、おでんなど、和食に合わせるバリエーションも楽しんでいる。我が家では、餃子のときの酢醤油とラー油に並ぶ欠かせない定番アイテムにもなっている。
ヒミツのレシピで夜な夜なつくっているホールスパイス系は、かなり複雑にブレンドしていて、その香りは「モロッコのスークを、迷いながら奥に歩き続けるとたどり着く、食べ物屋台から漂う炭焼きの煙とスパイス、すれ違うジュラバ姿の地元人、土埃が混ざった味」をイメージしている。これを食べたみんなが瞬時に“脳内モロッコトリップ”ができるように。
たぶん、味は少しずつ変化していきそう。いつか訪れる、どこかの国の空気をこのひと瓶にどんどんストックしていく感じで。