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ライアン・マッギンレー 10年の軌跡

ガードレールを乗り越え車道の向こうへと裸の男女が走り去っていく写真が、シガー・ロスのアルバム『残響』のジャケットとなり、一躍日本でも有名になったアメリカ人写真家、ライアン・マッギンレー。さらに彼の名を有名にしたのは、20 […]

09/10/2012

ガードレールを乗り越え車道の向こうへと裸の男女が走り去っていく写真が、シガー・ロスのアルバム『残響』のジャケットとなり、一躍日本でも有名になったアメリカ人写真家、ライアン・マッギンレー。さらに彼の名を有名にしたのは、2010年のバンクーバー冬季オリンピックの際にThe New York TimesのWebサイトに掲載された『High Flyers』と題された一連のシリーズ。スキーやスケート選手の競技中のまさに最高の瞬間を捉えたシリーズは、スポーツ選手の肉体美と競技のダイナミックさを誰も見たことのない高い次元で融合し、大きな話題となった。こちらのシリーズを見てわかるとおり、彼はけっして直感的に撮るタイプではなく、綿密なセットアップをおこなったうえで、きわめて感覚的な写真を撮れる稀有な写真家だといえる。
1977年、ニュージャージー州ラムジー生まれ。8人兄弟の末っ子で、ひとつ上の兄とは11も歳が離れていた。ビデオ撮影が趣味だった父もライアンが生まれたころにはすっかり飽きていて、彼を撮ったビデオは生まれたときの一本きり。それが彼を写真へと向かわせたのかもしれないという。パーソンズの奨学生としてニューヨークに出てきてからは、ひたすらYashika T4で写真を撮りつづけた。彼の写真に数多く登場する裸の男女たちは、服を着るのも面倒だといわんばかりに木に登り、砂漠を走り、花火のなかを跳びまわり、湖にダイブする。色、光、エネルギーに満ちたこれらの写真から感じられるのは、若さへの絶対的な賞賛、そして自由だ。10年間の代表作をまとめたこの本を見ても、裸の彼らが向かう先はわからないまま。しかし、どこに向かうかはたいしたことではない。どこかに行こうとするそのエネルギーだけが撮れればいいのだ。
Whistle for the Wind Ryan Mcginley Rizzoli $55.00