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メイド・イン・久留米|PAPERSKY japan club

ただでさえ置き場に困っているうえに確実に必要以上持っている。なのに新しいものが欲しくなる。こんな思いに共感してくれる人、少なくないのではないだろうか。スニーカーの話である。 メイド・イン・ジャパンを志向する人が増えている […]

09/15/2015

ただでさえ置き場に困っているうえに確実に必要以上持っている。なのに新しいものが欲しくなる。こんな思いに共感してくれる人、少なくないのではないだろうか。スニーカーの話である。
メイド・イン・ジャパンを志向する人が増えている昨今だが、スニーカーはやっぱり海外のもの、アメリカやヨーロッパブランドのものには敵わないと感じている人がほとんどだろう。自分もずっとそう思っていた。
2〜3年前、ある合同展示会で魅力的なスニーカーが並んだテーブルがあった。シンプルでアノニマスな雰囲気、ビンテージのスニーカーを思わせるようなどこか懐かしい感じに惹かれ、手にとって見ていると、すべて日本製だと言われて驚いた。シューズライクポタリーと名づけられたそのスニーカーが製造されていたのは福岡県の久留米市。紛れもないメイド・イン・ジャパンである。
豊かな筑後平野が広がる久留米は早くから産業が興った町。なかでも足袋づくりが発展して生まれた地下足袋や自動車タイヤ製造など、ゴム産業がたいへん栄えた土地である。このスニーカーを製造しているムーンスターも明治時代に足袋生産からスタートし、地下足袋、靴製造と発展した老舗のシューズメーカー。海外有名ブランドのOEM(他社ブランド受託製造)も多く手がけている実力派だ。
特徴はヴァルカナイズド製法と呼ばれるそのつくり方にある。縫製と成形を終えた靴を最後に加硫缶と呼ばれる窯に入れ熱と圧力を加える。すると硫黄が化学反応しゴムの耐久性や弾性を強化。そうして丈夫で驚くほど履き心地のよい靴ができあがる。窯に入れて焼く様子がまるで焼き物をつくるようであることからSHOES LIKE POTTERY(焼き物のような靴)という名前が生まれた。
あらためて手持ちのスニーカーと比べると、縫製や接着など仕上げのていねいさの違いがよくわかる。そしてこれまで感じたことのないほどのフィット感。高級品ならクオリティが高いのは当たり前。そうではなく、価格も手頃なスタンダードなレンジの商品クオリティが高いという事実こそ、日本製品の特徴だと思っているのだが、このスニーカーも例外ではない。というよりまさにジャパンクオリティを象徴する一品だろう。近頃は海外の人たちの問い合わせも急増しているという話を聞いて誇らしくなってしまった。