心を揺らす自分だけのプレイスを探して|O’Keeffe’s New Mexico 5

ニューメキシコでのオキーフは、夫であるアルフレッド・スティーグリッツの反対を押し切って車を買い、自らハンドルを握り、心を震わす風景を探しにさまざまな場所へ出かけた。たとえば、好んで描いた「ホワイト・プレイス(アロヨ・ブラ […]

02/12/2019

ニューメキシコでのオキーフは、夫であるアルフレッド・スティーグリッツの反対を押し切って車を買い、自らハンドルを握り、心を震わす風景を探しにさまざまな場所へ出かけた。たとえば、好んで描いた「ホワイト・プレイス(アロヨ・ブランコ)」は、アビキューから谷をひとつ越えたところにあるネイティブアメリカンの聖地だ。火山の噴火による火山岩と溶岩が堆積した純白の造形はオキーフの好奇心をくすぐり、彼女は何度も足を運んでいる。その昔、先住民とコンキスタドールが激闘を繰り広げた「ブラック・メサ」もお気に入りのモチーフで、オキーフはアビキューの家の近くで眺望のいい場所を見つけ、広大な山容を描いた。ゴーストランチから240kmの場所にあるナバホ族の集落、「ブラック・プレイス」へは、車に薪や水、食料、キャンプ道具、そして画材を詰め込んで出かけたようだ。黒い丘陵のまわりを探検した後は杉の大木の下でキャンプをしながら、何時間も絵筆を走らせた。その情熱は大作、『Black Place Ⅲ』などからも見てとれる。
1950〜60年代になるとオキーフの探究心は世界へと向かっていく。アジアを2度も訪れた他、ハワイ、メキシコ、ペルー、スペイン、そしてギリシア、エジプトへ。旅先で出合ったエキゾチックな風景や機上から眺めた雲や川のモチーフを、鮮やかなグラデーションで抽象的に描いた。色の洪水のような作品は、旅への憧れや旅先で味わえる自由と発見の喜びにあふれているようだ。
旅を愛しはしたが、世界中を見た後で、オキーフはあらためて確信を得たのだ。ニューメキシコには真に自分にふさわしい、最もすばらしい風景がある、と。
» PAPERSKY #58 NEW MEXICO|Outdoor Beauty Issue