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そこにしかないもの|出雲民藝館、船木研児さんの焼物

初めて島根を訪れたのは5年ほど前。以来縁あって毎年のように訪ねている。松江で書店を営んでいた友人の案内のおかげで、見知らぬ土地の魅力にすっかり魅了された。 出雲大社でお参りを済ませ、出雲民藝館へと向かう。受付と思われる小 […]

08/14/2012

初めて島根を訪れたのは5年ほど前。以来縁あって毎年のように訪ねている。松江で書店を営んでいた友人の案内のおかげで、見知らぬ土地の魅力にすっかり魅了された。
出雲大社でお参りを済ませ、出雲民藝館へと向かう。受付と思われる小屋には誰もいない。しかたがないのでそのまま敷地に入り、母屋らしき家屋の玄関を入ると「いま開けまーす」という声が聞こえてきた。じつはこの民藝館、出雲の豪農・山本家の屋敷や蔵を改装してつくられたもので、その広大な敷地内にある家屋では山本家末裔のご家族がいまも暮らしている。その建物のすばらしいこと。虚飾を排した簡素で直線的な屋敷は質素だがたくましい。出雲大社を造営した棟梁によって建てられたという長屋門。かつて3,000俵もの米俵を収蔵したという大きな蔵。その米蔵が民藝館の本館になっている。建物自体が民藝の名品という風情である。堂々たるつくりの蔵のなかに、全国から集められた民藝品が並んでいた。
とくに目を引いたのが島根を代表する陶芸家のひとり、船木研児さんの焼物だった。その船木さんのお宅に幸運にもお邪魔できるという。そのとき案内された船木さんのお宅で覚えた興奮はいまでも忘れられない。純和風の離れに広げられた船木さん親子の陶芸作品の数々。壁には見覚えのある絵の軸が掛かっていた。それはかつてこの離れに棟方志功やバーナード・リーチが何度も滞在した証だった。廊下を挟んだ客間には世界の民藝品が所狭しと置かれていた。ここにしかない時間と空間。50年前からそこあるという北欧のモダンなソファに座り、窓の向こうに広がる宍道湖の風景を眺めながら言葉にできない不思議な気分になった。
9月8日に開催されるjapan clubの活動では、この船木邸を訪問させていただく予定。二度とない機会、興味のある方はぜひご参加を!
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