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ハルとミナ。こんなにも旅を感じる理由|PAPERSKY Book Club

ハルとミナ、ふたりの子どもの写真で、ほとんどが家か学校かその間で撮られた写真だから、どこにも旅なんてしていないのだけど、どうにも旅を感じてしまう不思議な写真集。 わずか数年前、編集プロダクションでデザイナーだった濱田は、 […]

01/05/2015

ハルとミナ、ふたりの子どもの写真で、ほとんどが家か学校かその間で撮られた写真だから、どこにも旅なんてしていないのだけど、どうにも旅を感じてしまう不思議な写真集。
わずか数年前、編集プロダクションでデザイナーだった濱田は、カメラマンに頼む時間も予算もないときは、自分で写真を撮ることもあった。写真の興味は家に戻った後にはふたりの息子へと向けられる。
デジカメから中判のフィルムカメラに変えてからは、一枚を大切に撮るようになったという。決定的瞬間を撮るのではなく、露出と構図を決めてカメラを構え、何かが起こるのを計算して待つ。だからふたりはほとんどこちらを見ていないし、たいていの男の子がそうであるように、くだらなくておもしろい。
子どもの成長とともに時系列にページが並ぶこの写真集は、写真家へと彼が成長してきた記録でもある。また、今では撮影のために大げさではなく世界中を旅している彼には、忙しい旅から戻った自宅で、子どもと向き合う時間が何よりも大切なのだろう。その変化が、旅を感じさせるのかと考えたけれど、どうも違う。
何度も見て、いつも同じようなページで手が止まって、わかった。この写真には自分が覚えていない子どものころの自分が写っている。過去への感覚が遠くに来たような気にさせるのだ。陳腐な表現かもしれないけれど、旅をしているのは自分だった。
あらゆるページに自分がいるけれど、普段しないようなカッコつけたポーズで、教室の後ろで女子としゃべるところを撮った一枚に、いちばん子どものころの自分を見ました。
 
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