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小豆島遍路 Day6 | 江戸時代 vs 現代、イノシシ対策に思うこと

小豆島には昔からシカ、サル、イノシシなど、多くの野生動物が棲息していた。江戸時代中期、動物から農作物を守るために築かれたのが「しし垣」。石や土で築かれたそれは島内全長でおよそ200km。なかでも三都半島の長崎に残るしし垣 […]

07/10/2017

小豆島には昔からシカ、サル、イノシシなど、多くの野生動物が棲息していた。江戸時代中期、動物から農作物を守るために築かれたのが「しし垣」。石や土で築かれたそれは島内全長でおよそ200km。なかでも三都半島の長崎に残るしし垣は粘土のみでつくられており、珍しいものだという。疫病の流行で一度は絶えた猪害だが、数年前、高松からなんと海を泳いで渡ってイノシシが上陸した。ネズミ算式に増えたイノシシはあっという間に島内全域に散らばり、再びイノシシとの戦いが始まっている……と、教えてくれたのは、4年前に東京から四国に移住した上杉新さん。現在は小豆島を拠点に、イノシシやシカなど、いわゆる害獣とされる野生動物の革のバッグをつくっている。
「こうした動物から何かしらメリットを得られるようになれば、害獣のイメージがプラスに変わり、人と動物の関係も変わるんじゃないかって思うんです」。皮だけでなく肉も自家消費として有効活用しているが、将来的にはジビエ肉の提供も目指している。
しし垣からは旧遍路道を織り交ぜながら山道を使って三都半島を横断し、半島西側の富士を目指す。上杉さんの話を聞いて山道を歩けば、なるほど、トレイルのあちこちにイノシシの掘り返した跡が。アップダウンのある気持ちのいい道を抜けると、そこには瀬戸内海の大パノラマが待っていた。何十体もの地蔵菩薩が祀られている第29番霊場の風穴庵をお参りし、半島をさらに北上する。
樹齢1,200年のソテツを擁する31番の誓願寺、「天空霊場」こと42番の西之瀧など、この日は見所がたくさん。イノシシで始まった1日を池田で終えた。
» PAPERSKY #53 SHODOSHIMA | HIKE Issue