ピッチにほとばしる、バスクのプライド

アルゼンチンのリオネル・メッシやポルトガルのクリスティアーノ・ロナウドなど、世界のトップスターたちが集結するスペインのプロサッカー、リーガ・エスパニョーラ。現在このリーガは世界最高レベルにあるといわれる。その強さの最大の […]

03/05/2012

アルゼンチンのリオネル・メッシやポルトガルのクリスティアーノ・ロナウドなど、世界のトップスターたちが集結するスペインのプロサッカー、リーガ・エスパニョーラ。現在このリーガは世界最高レベルにあるといわれる。その強さの最大の要因はFCバルセロナ、レアル・マドリッドといったビッグクラブを筆頭に、各クラブが世界中からハイレベルな選手を買い集めている点。リーグ上位クラブは欧州、南米、アフリカなどの選手による多国籍軍であるのが当たり前となっている。そんななかで異彩を放つのが、バスクの二大人気クラブだ。
サン・セバスティアンを本拠地とするレアル・ソシエダは、80年代後半までバスク人のみで編成されていた歴史をもつ。10代の少年を育成するソシエダの下部組織ではいまだに、地元ギプスコアの子どものみを対象にスカウト活動をおこなうという。現在、このクラブで活躍を続けるダヴィド・スルトゥサ選手も、ソシエダの下部組織で鍛えられた地元出身フットボーラーだ。
「うちの家は先祖代々、レアル・ソシエダのファン。この地方ではサッカーがとてもさかんで、僕も5歳のころから自然とボールを蹴っていた。どこへ行くにもボールと一緒だった。だからいま、このクラブに選手として在籍していることは大きな喜びだね」
バスクのクラブは、伝統的に絶大な結束力を武器とし、どんな劣勢に立っても諦めないといわれる。そんなバスクらしさを感じる瞬間は、と訊いてみた。
「クラブでは試合中でも練習中でもバスク語で話すっていうのが特徴かな。同じスペインなのにちょっとユニークに思われるかもしれないけど、僕らは自然にバスク語が口から出てしまうんだ。あとはやっぱりバスクのライバルであるアスレティック・ビルバオとの試合だよね。彼らとプレーする時は順位に関係なくモチベーションが上がる。でもほかの地域のライバル関係とはちょっと違うかもしれない。ほかの地域では選手もファンもいがみあうことが多いけど、バスクの場合はどこか健全だね。絶対負けたくない相手だけど、試合が終われば一緒に打ちあげをすることもあるんだ」
アスレティック・ビルバオはソシエダよりも一層、バスクの血に重きを置く独特のチーム。1898年の創設以来、バスク人以外は加入を認めず、いわゆるバスク純血主義を掲げる。それでも二部に降格したことがないというレベルの高さを維持しつづける。クラブの中心的存在、フェルナンド・ジョレンテ選手に話を聞いた。
「アスレティック・ビルバオには100年以上、バスクをPRしてきたというプライドがある。クラブの純血主義は当然、すばらしいと思う。強さの理由はいろいろあるけど、チームワークかな。バスク人だけで構成されている点はやっぱり大きいね。サン・マメス(ホームスタジアム)では地元の熱狂的なファンがとんでもないインスピレーションを与えてくれるのも、このクラブの原動力だ。その応援が、僕らの速くてリズミカルな攻撃を後押ししてくれる。僕らが勝ったときのスタジアムの“熱”は、ほかでは味わえない感覚だと思うよ」
ファンの気質やクラブの哲学は微妙に違えど、ふたつのクラブに共通するバスク人の精神性とプライドは選手たちも認めるところ。バスクらしさを頑なに守りながら勝利への道を模索する両クラブ。その動向には、ファンのみならず世界のサッカー関係者が注目している。