音楽の村へ|モロッコ・砂漠の昼

でこぼこの砂地の道を走り、タマネギやアルファルファなどが植えられた小さな畑や四角い土の箱のような家がポツポツと並ぶ集落をいくつか過ぎると、「KHAMLA(ハミリア)」という手書きの看板を見つけた。ハミリアは漆黒の肌をもつ […]

04/13/2016

でこぼこの砂地の道を走り、タマネギやアルファルファなどが植えられた小さな畑や四角い土の箱のような家がポツポツと並ぶ集落をいくつか過ぎると、「KHAMLA(ハミリア)」という手書きの看板を見つけた。ハミリアは漆黒の肌をもつスーダン系の人々が160人ほど住む「音楽の村」。この村の男たちは400年前から続くギナワミュージックを今も大切に受け継ぎ、その音楽をツーリストたちに披露している。弦楽器の旋律と打楽器のリズムに、高い叫び声のような歌と儀式的なダンスを合わせた神秘的な音楽には、奴隷狩りの時代、彼らの民族が味わった深い悲しみと過酷な状況でも抱きつづけた民族の誇りが込められているという。
音楽の村からの帰り道、大きな湖が見えた。この湖は貴重な水がめのひとつで、人々はここまで水を汲みにやってくる。湖の周辺には多肉植物やカモミールが一面に生えていて、ラクダが飼い主に連れられ食事と休憩に来ていた。さっき聴いたばかりのギワナミュージックから垣間見たアフリカの姿とはかけ離れた、とてものどかな景色だった。砂漠のなかで休んでいるラクダを眺めていると、時間までもが流れるのをひと休みしているかのようだ。
This story originally appeared in Papersky No.26.