たどり着いた理想のサーフタウン
長いこと湘南に暮らしていた料理家の有元くるみさんが高知に移住したのは、2015年。キャンピングカーにサーフボートを積んで西日本を旅していたとき、ふと立ち寄った高知で運命的なものを感じたのだという。
「着いた瞬間に、ここはちょっとおもしろいかもしれない、と直感で思って。インドのような、アフリカのような異国的な雰囲気がありつつ、ひと昔前の日本のようですごくいいなって。運転しながらここに住もうって決めました」
移住したのはその数ヶ月後。高知市内のかつては美容室だったというユニークな物件を借り、暮らし始めた。街の中心にありながら、サーフポイントまでは車で20分という距離感だ。魅力のひとつはやはり、食材の豊かさだという。
「高知ってすべての食べ物があるんです。野菜、果物、お米にハーブ、魚はもちろん、牛、豚、鶏、ジビエ肉まで揃う。柑橘も通年収獲できるし、トマトひとつとってもたくさん種類がある。醤油も味噌も、納豆まであるし、湧き水も汲みにいける。食卓にのっているすべてのものが高知産ということだって、当たり前。それってすごいことですよね」
世界中を旅しながら、インスピレーションを得て多彩な料理を手がけてきたくるみさんにとって、今でも旅は欠かせない。自家ブレンドしたモロッコの調味料「HARISSA」やジンジャーシロップ、文旦ジャムなどのオリジナル商品や高知のセレクト品を車に積み込んで出発。各地の旅先で、商品販売やイベントを開催している。夏はサーフボード、冬はスノーボードも楽しみながら。
「旅をしながら、高知のことを広めていけるのが嬉しいし、楽しい。数週間の旅を終えて帰ってくると、ほっとしてやっぱり高知のよさを実感する。ここがホームだなって」。
縁あって、現在の住まいとは別に、新たに海辺の一軒家を借り、DIY中。至福のノマドライフは、さらに進化を続けていきそうだ。
有元くるみ Kurumi Arimoto
料理家。世界中を旅しながら、そこで出会った食文化を題材に料理教室やケータリングを開催。2015年に高知県に移住。現在はサーフィンを楽しむかたわら、モロッコの調味料「HARISSA」やスパイス各種、季節のジャムのなどを生産・販売。