自転車教育も行う先進的なコミュニティセンター

ポートランドから南下することおよそ2時間。オレゴン大学の所在地として知られるユージーンは、オレゴン州随一の先進的なバイク・コミュニティで知られている。ユージーン市は1970年代から自転車専用レーンの設置に取り組み、現在はサイクルレーンが市内ほぼすべての場所を結ぶ。実際、通勤や通学にバイクを利用する人口は他の街より圧倒的に多いとか。
この先進的なバイク・カルチャーを代表するのが、「Center for Appropriate Transport（CAT）」だ。CATは非営利のコミュニティ・バイク・センターで、「バイクこそ日常利用にふさわしいサステイナブルな乗り物である」という信念から、地域コミュニティへバイクの利用を促すような取り組みを行っている。施設内には時間借りできるバイクの修理スペース、カーゴバイクや電動リカンベントバイクなどさまざまな種類のユーティリティバイクの製造設備、ユーズドバイクの販売スペースなどが備わり、メンテナンスについてのワークショップも開催している。一角にあるバイクミュージアムに展示されている自転車は、地元住民から寄付されたものがほとんど。現在は12歳から21歳の若者のための自転車教育プログラムに重点を置いており、全米中から集まった若者がフレームビルドや溶接などの技術をここで習得している。いわば、公立の自転車学校といえるだろう。
CATのようなバイク・コミュニティの代弁者のおかげか、ユージーン市は2021年までに自転車道をさらに拡張する計画を発表した。全米で最も快適にバイク移動を行える街になりそうだ。
CAT（Center for Appropriate Transport）
1992年、「BIKE FRIDAY」の元エンジニアのヤン・ヴァンダートゥインが開設。カーゴバイクやリカンベントバイクとともにDIYの精神を広め、先進的な自転車カルチャーを築いた。