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バッジで世界旅行 – NILのアートワーク

ポップなファッションギアとしても使われる缶バッジ。だがアートワークとしてこれだけこだわっているブランドは少ないだろう。「NIL(ニル)」の創作者・内田智速さんは、アート活動を主流としながら、レディース・メンズウェアーをは […]

01/27/2010

ポップなファッションギアとしても使われる缶バッジ。だがアートワークとしてこれだけこだわっているブランドは少ないだろう。「NIL(ニル)」の創作者・内田智速さんは、アート活動を主流としながら、レディース・メンズウェアーをはじめ、イラストレーション、消しゴム版画、バッジ、サボテンなど、そのアイデアを様々な形で表現している。取材で会った時、彼の胸には”World Travel”と文字の入った”青い地球”と”ふぐ刺しの皿”、それぞれのバッジが着けられていた。ふぐの青い皿は一見小さな地球のようにも見えたが、下関生まれという彼の自己紹介のようなもの…なのだろうか?
先日築地で開かれたNILバッジ展のテーマは「バッジで世界旅行?」。エッフェル塔、エアーズロック、富士山、タージマハルなど、みんなが知っている風景に、空には謎のUFOの姿。スタンプ画や切り絵の技法を用いて、フォノグラムや折り紙、和紙などを幾重にも重ね、小さなバッジの中に世界の名所を表現している。「宇宙からUFOで地球を観光していたり、もしくは宇宙人が地球を旅行していたり、そんなイメージなんです」。また彼の作品と対をなすように展示されているのが、智速さんの父・賢吾さんが絵の具で同じ場所を描いたバッジの原画。本業はフレンチの料理人だという。「同じ風景を見ても、その表現や着地点は色々あっていい、ということを示したかった」と智速さんは話す。ここでも使用されているのが、NIL特製の白いキャンバス地を貼ったバッジ。手にした人が自分で描くことのできるカスタマイズバッジであり、NILの考えるバッジの無限の可能性を象徴しているかのようだ。
「京都とか富士山とか、各地の”ご当地バッジ”を作ってみたいですね。旅先でおみやげを買おうと思って、おみやげ屋にこんなバッジが売ってたら楽しいじゃないですか」
工房にはバッジ加工のための機械があり、アイデアをすぐ形にすることができる。「知り合いから個展の知らせが届いたら、そのハガキを切り抜いて、バッジにして、訪ねるときに着けていくんです。おっ、なんて言って、喜んでくれれば楽しいし。アルファベットのバッジでこれから会う人のイニシャルを並べたりして、気づいたらそれをプレゼントする。”うれしい罠”って感じで、カバンから出すよりも、バッジはさりげないし。季節感とか、土地感とか、お礼のメッセージも表せるし… 例えるなら、封筒に貼る切手を選ぶような感覚です。
朝のニュースでやっていたことをバッジにしてその日に着けていったりも…ローマ教皇がニュースになっていたら、ローマ教皇のバッジを作ったり。自分がおもしろいと思ったもの全てバッジにして着けて歩けば、それは自分の中身を表現しているようなものですよね」
独自のバランス感覚とユーモアを含んだアイデアの数々は、胸元を飾るバッジのように軽やかにきらめいている。NILのバッジは、自分の目で世界を”見る” ことを意識させ、それを形にすることの楽しさに気づかせてくれる。小さな円の中に描かれた風景は、宇宙を旅するかのような無限の広がりをもっている。
NIL » http://nilsite.com/
NIL Badge Exhibition “World Travel” vol.2 「バッジで世界旅行?身支度編」
2010.1.29(金) – 2.3(水) 12:00 – 20:00
No.12 Gallery 東京都渋谷区上原2-29-13 Tel: 03-3468-2445
http://no12gallery.com/