Cosmic Pizza | Venus & Earth 2020 – 2028
金星と地球の直近の結びは2020年6月4日。この日、太陽・地球・金星が同一線上に並びます。ふたつの星は1年半ごとに結ばれて、8年かけて元の場所に戻ってきます。結びのポイントをつないでいくと、五芒星の形に。
Conjunction of Venus & Earth
2020-2028 地球と金星の結び
2020年6月4日
2022年1月9日
2023年8月13日
2025年3月23日
2026年10月24日
2028年6月1日
金星と地球は双子のきょうだい
私たちが享受しているとおり、地球は生命を育む非常に豊かな環境。一方、金星はというと、太陽系のなかでいちばん高温・高気圧なうえに濃硫酸の雨まで降っていて、まるでピザ窯のなかのような厳しさです。もちろん、命は存在できません。いっけんまるで違うふたつの星ですが、じつは太陽系のなかで最も似ている者同士。生まれた時期も、大きさも、素材までもがそっくりなのです。
怪我の功名というべきか、地球はその昔、大きな岩石に衝突された(ジャイアントインパクト)ことで、自転公転の安定を得ただけでなく、自らの破片から月という名パートナーを得ることまでできてしまった。月の引力は地球の水をかきまわし、生物を誕生させ、大気の二酸化炭素を酸素に変化させるという偉業を成し遂げました。金星にもやはり大きな岩石の衝突がありましたが、こちらはその衝撃によって自転軸が逆さまになってしまい、ますます過酷な状況におかれることに。一卵性双生児のようにそっくりだったふたつの星は、まったく別の人生を歩むことになりました。
ライトからエンライトメントへ
マヤの先住民の教育では、宇宙的な知識は噛み砕いて理解するのではなく、蛇のように丸飲みするものだと説いています。人間が天則を理解しきるなど、どだい無理な話。であるならば、あるがままを丸ごと受け入れようとする考え方は、明けの明星を飲み込んで悟りを得たという空海の伝説や、もしかすると明けの明星を見て悟りを得たというブッダの逸話にもつながる感覚ではないでしょうか。そっくり飲み込んで、星の輝きを内側から放つ。遠くに見上げていたはずの美しさは今、自らのなかにそのままあります。
地球に距離が近づくほどに輝きを増す金星は、地球から見た場合、最大光度のときにはあのシリウスのなんと20倍ほども明るくなります。しかもその美しい姿を現わすのは、日没と日の出のあわいだけ。黄昏(たそがれ)の空は、きのう地球がいた方向=過去。日が落ちると闇に消えゆく、過去の宿命です。対して彼は誰(かわたれ)の空は、これから地球が向かう方向=未来。やがて日が昇れば、光は光のなかに吸い込まれていく……眩しさのなかに、未来はあるのです。
美しさの理由
完璧な美しさの根拠には黄金比があるといわれます。身体(DNAや各パーツなど)、生物(花びらや巻き貝など)、自然現象(波の形や台風など)と、その螺旋の美は至るところに見受けられます。比率は決まっていて、1:1.618。
じつは金星と地球の関係性も、この究極の数値になっています。というのも、金星の公転日数(1年)は225日。これに1.618を掛けると364。つまり地球の1年に限りなく近い。そして、地球の公転日数365に1.618を掛けると、590。これは金星と地球が会合するサイクルである584日にごく近く、誤差わずか1%。金星と地球の、自転、公転、会合という3つの周期の連動はじつにみごとです。
さらにこの会合周期のポイントをひと筆書きのようにして追っていくと浮かび上がってくるのが、五芒星の形。そう、万国共通で星を表す、あの形です。実際にそのように目に見えるわけではないのに、星というとなぜあの図形で表現するのか? それは、金星と地球のハーモニーがモチーフになっているのかもしれません。ふと目をやれば、足元の花だって黄金比。どうしてこの形になっているのかといえば、宇宙にこういうエネルギーがあるから、という他ありません。宇宙のエネルギーのテンプレートの上に、この花がこの形で存在しているということ。この花がそのまま宇宙に咲いていると言い換えてもいいでしょう。
金星と地球の密なる関係性には、
完璧な調和による極上の美しさがある。
−−−− 杉山開知
Cosmic Pizza
Venus & Earth 2020 – 2028
2020年から2028年の8年間の金星と地球の結びという、ふたつの惑星の関係性からインスピレーションを受けたピザ。金星をイメージした黄身と、黄金比のロマネスコをトッピング。
杉山開知 Kaichi Sugiyama
1977年、静岡県生まれ。独学で暦を研究、地球暦考案に至る。じつは地球暦誕生のきっかけのひとつは、ピザ屋のアルバイトで時間についての極まりを経験したことにある。