旅人たちがたどり着く港町、焼津
『陽がカンカン照ると、焼津というこの古い漁師町は、中間色の、言うに言えない特有な面白味を見せる』
明治の文豪、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は焼津をこう語る。彼は晩年、お盆のころに必ず訪れて、深く荒い焼津の海を泳いではリラックスして過ごした。山々に囲まれ湾曲した浜は彼が幼少期を過ごしたギリシャやアイルランドの浜を思い出させたという。深い色の駿河湾の向こうに鎮座する富士山の景色はいかにも日本らしいと感じるが、遠く離れた海外の浜に似ているというからおもしろい。そういえば、ジャマイカ産コーヒーとチョコレートの店「LENY」のレノックスさんも焼津は故郷キングストンの港に似ていると言っていた。モーニングにいただいたカカオ95%ドリンクは体と心をほっとさせる味。こんな風に彼らを落ち着かせるものが焼津にはあるのだろう。
アーバンかつエキゾチックな「Yuruk Bake Shop」のベーグルサンドは地元食材がぎゅっと詰まっていて、昼過ぎには売り切れるほど人気だ。遊牧民のように世界を旅した松永夫妻は、忘れられぬトルコのサバサンドの味を焼津のサバと自家製ベーグルで実現した。焼津移住の決め手は中南米に似た陽気でオープンな港町、近すぎず遠からずな人との距離感の居心地のよさだったとか。
人気釣り女子の三浦愛さんも焼津の海に惚れて移住したひとり。海洋生物を専攻後、トスカーナに渡りイタリア料理を学んだという異色の経歴をもち、今は釣り教室や魚調理イベントなど、焼津の魚との新しい関わり方を提案している。船釣りではアジやアマダイ、夜はタチウオが釣れるらしい。世界を巡り焼津の海にたどり着いた人々の話を聞くうちに、「日本有数の水揚げ量を誇る漁港の町」という印象が、がらりと変わって国際色を帯び、旅人を迎え入れるような焼津の懐の深さを知るのだった。






【参加募集開始間近!】
潮風香る港町を巡る、心整う旅へ
ツール・ド・ニッポン in 焼津
2022年9月24日(土)・25日(日)の週末に開催
駿河湾と富士山を眺めながら焼津の魅力を味わい尽くします。1日目はフィッシング。釣り女子の三浦愛さんと船釣りへ。釣れた魚に感謝して焼津を味わう夜ごはん。2日目はバイク&ハイク。焼津の美食をつまみ食いしながら花沢の里まで浜辺をサイクリング。満観峰ハイクの後は「林叟院」で坐禅体験を。最後は「黒潮温泉なかむら館」で汗を流してリラックス。さあ、自然と触れ合い深呼吸して体も心も整う旅へご一緒しましょう。