Connect
with Us
Thank you!

PAPERSKYの最新のストーリーやプロダクト、イベントの情報をダイジェストでお届けします。
ニュースレターの登録はこちらから!

斗々屋

日本の「ゼロ・ウェイスト」社会への
移行を牽引する企業

ゼロ・ウェイスト・ショッピングという概念は新しいものではない。しかし日本はまだ、この運動の第一波の半ばの段階にいる。私たちは小さいながらも先見性あふれる企業、斗々屋の広報担当を務めるノイハウス萌菜さんから、斗々屋が運営するゼロ・ウェイスト・ショップと日本の素晴らしい未来についての思いを聞いた。

09/17/2021

斗々屋は2019年9月、代々木公園の近くに同社の理念を忠実に具現化したショップ、「nue by Totoya」を開店した。「nue by Totoya」は、すべての商品を量り売りで販売し、使い捨ての包装を一切使用せず、不要なごみを出さないという従来の店にはない特徴を備えている。斗々屋はこのショップを開店するにあたり、ゼロ・ウェイスト・ショッピングとはどのようなものなのか、どのようなメリットがあるのかを世間に示すことを目標に掲げた。

「このお店で、どのような商品を販売するか、どうすればお客様がスムーズに買い物ができるのか、購入する方法をお客様にどのように伝えればよいか、ゼロ・ウェイストな卸の方法への切り替えに積極的な新規生産者・農家をどのように探していけばよいかなど、試行錯誤を重ねながら見出していきました」とノイハウスさんは話す。このお店の名前とミッションは瞬く間に人々の間に浸透し、2021年1月には国分寺の店舗へ移転して、本格的なショップを開店することができた。

開店当初の課題のひとつは、人々の間に定着している概念(マインドセット)だった。「日本は利便性とサービスの質の高さで知られている国ですから、そうしたものを当然とする考えをなかなか揺るがすことができず苦労しました。企業にとっては利便性と上質なサービスを提供するのが当然のことになっていますし、消費者にとっても便利なライフスタイルを手放すことは難しいものです」とノイハウスさんは語る。

「それに、緊急性もしっかり伝わっていないと思います。多くの人が無駄なゴミを出すことは『正しいことではない』と理解していますが、それが具体的にどのようなインパクトを及ぼしているかは想像しにくいのが現状です。また、何か行動を起こしたいと思っていても、まずは何から始めるかというのが課題だと思います」
この状況を打開するカギを求めて、斗々屋は京都に進出した。 

斗々屋が出店した最新の店舗が斗々屋京都本店。今年7月31日に京都に開店したゼロ・ウェイスト・スーパーである。国分寺店よりもはるかに広い店内には、800品目ほどの食品・生活用品が並ぶ。ごみ削減に協力的なより多くのブランドが人々の目に触れる機会を得て、新しいビジネスにもつながることが期待されている。 

斗々屋京都店では、生鮮食品によるフードロスを無くすための取り組みの一つとして、夜になると店内の一部をゼロ・ウェイスト・レストランにするという施策を行っている。

「京都店ならではのもう一つの大きな特色は、買い物をよりスムーズでスピーディに行うためのテクノロジーを導入していることです。京都店の量りやレジに使用されている技術は寺岡精工さんが提供してくれています。寺岡精工さんは当社に協力して、ゼロ・ウェイスト・ショッピングが社会に浸透しているヨーロッパで使用されている最新技術を日本に初めて導入して下さっています。当社がこうした最新の技術やサービスのいくつかを、日本で初めて導入した企業になれるというのは本当にうれしいことです」

無印良品のような有名ブランドは店舗で量り売りを一部展開しているが、容器内の商品の多くが依然としてビニール包装されていることを考えると、量り売りの環境に対するメリットまでは伝わっていないだろう。それでも、こうした取り組みが正しい方向への一歩であることは間違いない。

「日本も世界も環境にとってよりサステナブルな未来に向かっています。体系的な変化を起こすことは可能であり、実際に起きつつあると私たちは考えています。斗々屋京都店が日本初のゼロ・ウェイストのスーパーマーケットとして成功すれば、他の企業も商業的な成功のためだけでなく、社会の一員として同じような取り組みに挑戦してくれると思います。私たちは斗々屋を例外的な存在ではなく、ゼロ・ウェイスト・ショッピングが当たり前になることを目指しています。そのためにも、国内各地でゼロ・ウェイストのショップを開店しようとしている人々を支援する活動を続けていきます」

斗々屋
商品をすべて個包装なしで量り売りをし、ゼロ・ウェイストな買い物ができるショップを展開するだけでなく、持続可能な社会の実現に資する取り組みを多数手がけている。