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Talk of the Town with Amami City’s Mayor

奄美市長 安田壮平さんインタビュー

 

09/05/2022

郷土愛が紡いでいく希望の未来都市


昨年末、奄美市に新しいリーダーが誕生した。安田壮平市長、43歳。「こんな腰の低い政治家、見たことない」と、異口同音に語られるような、今どき稀有な政治家だ。 

奄美市名瀬に生まれ育った安田市長は、鹿児島の高校を卒業後、東京大学法学部へ進学。卒業後は、東京で経営コンサルティングの会社に勤めたものの、「都会の歯車のひとつになった気がして」内省するようになった。そこで、「故郷のために働くことこそ、本当に後悔しない生き方ではないか」と気づいたことが、政治家を志したきっかけだったという。

そんな市長が掲げるのが、「明るく、やさしく、風通しのよい、未来都市・奄美市」という標語。そのビジョンを実現するうえで、郷土教育にも注力したいと市長は語った。

「最新のデジタル技術を活用しながら、古きよき奄美の精神性や文化といった“アナログな部分”をきちんと守り続けられる社会。それが、私がイメージする未来都市です。子どもたちには、奄美がどういう地域なのかを対外的にも説明できるように育ってもらいたい。集落行事のなかで受け継がれるものもありますが、街中の学校では郷土文化に触れる機会も少ない。すべての地域の学校で、大島紬、シマ唄などの伝統と身近に触れ合える機会を増やせたら、と考えています」

大島紬の織元に生まれたという安田市長。子どものころに家業は廃業したが、「機織りの音は、耳の奥に残る故郷の音」だと話す。また、慣れ親しんだ海や自然の美しさも、上京し、都市生活を経て当たり前ではないことをあらためて実感。日常のなかで故郷の魅力に触れ、郷土愛を育むことが島の未来につながっていくと、安田市長は身をもって示していると言えるだろう。 「島にプロフェッショナルを増やすキャリア教育にも力を入れつつ、一度島を離れても将来帰ってきたくなるような教育を目指したい。次世代がしっかり育ち、好循環をつくれるような地域経営をしていきたいですね」



安田壮平 Sohei Yasuda
1979年生まれ、奄美市名瀬出身。東京大学法学部卒業。民間企業に勤めた後、松下政経塾に入塾。2008年に奄美へ帰郷し、NPO法人にて青少年支援や環境保全・リサイクル推進を行うなど、島おこしに取り組む。2011年から市議を3期務め、2021年12月に奄美市長就任。

PAPERSKY no.66 | AMAMI ISLAND LISTEN
さまざまな音、声に耳を傾け、多様な奄美を感じて巡る旅へ。旅のゲストは、画家で絵本作家のミロコマチコさんと染色家である金井工芸の金井志人さん。
text | Yukiko Soda photography | Yayoi Arimoto