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BESS × PAPERSKY

新潟で、『毎日を丁寧に楽しむ』という理想に出会う

One Japan ~ 47 Neighborhoods

日本各地にはそれぞれの魅力やオリジナリティがあり、それぞれの地域はつながりあい、影響しあいながら独自のカルチャーを育んでいる。 47 Neighborhoodsは、そんな日本の各地方で実現可能な「クリエイティブで豊かな暮らし」を、BESSとPAPERSKYが探す旅の物語。第2回は新潟県新潟市を訪れた。

01/27/2022

なんといってもお米とお酒が美味しい、新潟。そんな楽しみを頭に入れつつ、冬の訪れを感じ始める頃、PAPERSKY編集長のルーカスが旧友のクリエイターと新潟市へ向かった。

訪れた人/ ルーカスB.B.(PAPERSKY編集長)
訪れた人/ 小柳雄一郎さん(ファクトリーブランド「G.F.G.S」主宰/加茂市在住)
迎えた人/ 佐野良恵さん(新潟市在住、BESSの家オーナー)

1. なにかにトライしたいという気持ちが高まる家



新潟県白根市出身の佐野さんはご主人の仕事の都合で約10年前に新潟市へ転居。現在は、雑誌でひと目見た時から惚れ抜いたBESSの家に夫婦ふたりでゆったり暮らす。憧れ続けた家で過ごすすべての時間が、佐野さんの宝物だ。


ルーカス 「この家、落ち着いててすごくいいね。どうやってこの家に決めたの?」

佐野 「私の一目惚れで。雑誌の広告にこの家の写真が出ていて、こういうところに住んでみたいなと思ったのが始まりなんです。主人に話したら、実物を見てきてくれてこれはいいねと」

ルーカス 「第一印象って大事だよね」

佐野 「そうそう。『程々の家』っていうんですけどね。ちょうど別の方が同じ家を建てている最中に、主人が見に行って。主人は建築関係の仕事をしているもので、基礎部分とか配管などを見て、いい仕事してるなと。じゃあ、今度は主人の親を説得しようと。もともとこの土地は主人の親と住んでいた古い家があったんです。だからその家を半分取り壊して、隣の部分に新しい家を建てることになるんですけど、それには主人の親を説得しなければならなかったんです」

ルーカス 「自分の家にはこだわりがあるしね。ご両親は納得した?」

佐野 「外観が和風で落ち着いていて、古い家とつながっているように見えると。洋風の家をドンと建てるより全然いいねと、納得してくれたんです」

ルーカス 「落ち着いた雰囲気だから確かに年代問わず、好きになれそうな家だね。家の中もたくさんの木材が使われてて、クラフト感もいいね。こういう家に住んで、生活は変わった?」

佐野 「これといって趣味はないんですけど、とりあえず気になったことにトライするっていう志向がこの家のおかげでさらに強くなったみたい。カゴを編んだり、マクラメを作ってみたり」

小柳 「こういう家に住むとモノを作りたくなる気持ち、すごくわかります」

佐野 「私は専業主婦なのでやっぱり家での時間をできるだけ楽しくしたい。家が職場という感覚もあって、家の中をあちこち移動する時の導線も重視していて。この家は本当に導線がストレスフリー。以前の家は廊下がやたら多くて大変でしたし」

小柳 「リビングとキッチンの間の扉が可愛い…」

佐野 「これは主人が作ったんですよ。ここに扉つけると冬は暖かいし、夏な冷房の効きがよくなるし。そういう話をしていたらある日、主人がカンカンとやりはじめていつの間にか扉が出来上がってた(笑)」

ルーカス 「すごい!」

佐野 「最初はソファとかゴチャゴチャ置いていたんですけど、すっきりした方が素敵だなって。それで、だいぶ片付けちゃいました。昨日なんか、娘が遊びに来て、このテーブルで卓球してみたんですよ(笑)。物が少なくてスペースがあるからそんなこともできる(笑)。シンプルな暮らしっていいですよね」

ルーカス 「家に影響されて生活が少しずつ変わっていくね。僕も東京の渋谷にオフィスを持っているんだけど、静岡の焼津にも拠点があって。今度、焼津の家を大々的に改装してもっと心地良い空間にするんだ。古くからあった物も大量に捨てて、スッキリとね」

小柳 「いやあ、実は僕もBESSの広告を見て、真剣に建て替えを検討してたんです。佐野さんの気持ち、とってもわかる。古い家って廊下が長くて障子がたくさんあって(笑)。僕と妻とおじいちゃんしか住んでないのにやたら広い。とにかくシンプルな家ですっきりと暮らしたいんです」

ルーカス 「放っておくと物は増えていくから」

小柳 「本当、そう。僕ら、物欲にまみれた世代でしょう。大量消費が当たり前で。だけど今は自分の大切なものだけに囲まれて暮らしたいって思うようになってる。佐野さんの家の中も興味津々で見させてもらってるんだけど、こういう素敵な家だと物を減らしていきたくなりますよね」

佐野 「やっぱり!」

小柳 「僕は仕事で服を作っているのもあるんだけど、この『程々の家』は絶妙にアウトドアテイストを落とし込んでいる感じがいいですよね。ログハウスをポンと住宅街に持ってくるとやっぱり違和感があるんだけど、この家はちょうど良い塩梅で。和の良さもありながら自分たちらしさも主張していて、正直、とってもうらやましいんです(笑)」

2. 新潟を離れられない理由



ともに新潟生まれの佐野さんと小柳さん。新潟の暮らしやすさ、この土地を離れられない理由について会話が弾んでいく。


ルーカス 「小柳さんはボーダーのカットソーを作ってる。面白いよね」

小柳 「自分でいうのもなんだけどとっても変わってる(笑)。2,3年で潰れるって色々な人に言われましたよ。ボーダーだけでやっていけるわけないって。以前は毎日毎日、ハサミなんかを作ってたんだけど売る場所がなくて困ってて、だったら在庫を持たないでものづくりできないかなって。新潟ってニットの産地でしょ。ニットって横編みなんでそういうのをヒントにしてボーダーなら作れるかもって。だけど最初は勢いだけで(笑)」

ルーカス 「小柳さんみたいに新しいことを始める人が新潟に増えてきてるような気がする。そういう人が集まってるエリアもあるよね」

佐野 「沼垂(ぬったり)テラスとかね。古くなった商店街に若い方たちがどんどん参入して、コーヒーとかパンとか雑貨とか、楽しいお店が集まってる」

ルーカス 「僕と小柳さんもその沼垂テラスでイベントをやったことがあるんだよ。ギャラリーとかアクセサリーショップとか、ぶらっと歩くのに楽しい場所だね。商店街に入っている人が皆、クリエイティブでいい感じ。新潟にはそういう場所が増えてる?」

佐野 「最近、マイブームは村上市ですね。城下町が面白いなと思っていて、情緒もあるんだけどリノベーションした新しいお店なども楽しい。あと、新発田市の清水園もお気に入り。武家屋敷の雰囲気が残されていて、その中にカフェとか料理屋さんがあって。古いものと新しいものが混ざりあうような場所が少しずつ増えてきているような気はしますね」

小柳 「そういう部分は最近の新潟の面白さ。ビルのテナントが空くと、さっと面白い人達が入るような流れ。これからどんどん面白くなっていくんじゃないかな」

ルーカス 「新潟の良さって他にもいろいろあるよね」

佐野 「新潟を離れられない理由って私にとってはお米なんですよ。ずっと暮らしているとこれが当たり前になるんですけど県外に出るとすぐ気づく。ご飯の味が全然違う!新潟ではイマイチとされるお米でも都会のお米と比べると全然おいしい。本当に新潟はお米とお水が美味しいから」

小柳 「お客さんが県外から来ると、口々にお米が美味しいって。お米が美味しいからっていう理由で新潟にリピートする人も多い。普通に炊飯器で炊くだけでも美味しいんだから」

3. 自分だけの時間を大切に



ここで、小柳さん持参のお菓子が登場。カフェ経営にも乗り出している小柳さんが新潟県加茂市の人気和菓子店「涌井金太郎商店」とコラボしてつくった「KOINOBORI」と、涌井金太郎商店の笹団子。コーヒーと和菓子の甘みで場の空気はさらにリラックスした雰囲気に。


小柳 「新潟の笹団子、美味しいんですよ。良い笹団子は笹と餅がくっつかない(笑)」

ルーカス 「こっちのKOINOBORIも可愛いね。つぶあん、大好き」

小柳 「加茂川の鯉のぼりって春の風物詩なんですよ。それをモチーフにしたお土産。飲食なんてやったことないのに、カフェまで始めちゃって」

佐野 「このKOINOBORI、ほんと、美味しい」

ルーカス 「加茂も面白い場所だよね」

小柳 「移住してくる人も増えましたね。古くて美味しい店もたくさんあるし。あとは燕三条とかも職人さんの町で、職人さんになりたいっていう若者が最近、移住してくるんですよ。活気があって面白い場所になってる」

ルーカス 「都会にはなんでもあるけど、地方で暮らすと古いものを利用しようとか、何もないから自分で何か始めようとか、自然とそういうクリエイティブな気分になれるのがいいと思う。別に目立たなくても、自分だけしか分からないクリエイティブでもいい。それぞれの人が少しでもクリエイティブな気持ちを持っていると、その地域にはエネルギーが生まれるね」

佐野 「私も自分だけの時間を楽しんでますね。家自体がお気に入りだから、家にいればなんだか気分がいい。ただ掃除をするのも楽しいし、この家は照明映えする空間があってそういう小さなことで毎日、癒やされてます。あとは主人がでかけたら一人でネットフリックスっていうのが最高の時間(笑)。家の中は年齢を考えるともう少し引き算してもっとシンプルにしていきたいし、住んでいくうちに変わっていく床とか壁の経年変化も楽しい。憧れの家を建てられて、今はすべてに納得し感謝して暮らしてます」

ルーカス 「モグモグ(小柳さんのお菓子を夢中で食べる)」

小柳 「本当に、そう思います。どれだけ心地いい家に住むかって、やっぱり大切。あ〜、僕も建て替えたいな〜」

ルーカス 「モグモグ(甘いものが止まらない)」


BESSの家
https://www.bess.jp

text | Miguel Utsunomiya photography | Shuhei Tonami