菓子研究家・長田佳子さんと“フィーカ”の国、スウェーデンへ
本当の豊かさを追求し、幸福度の高い ライフスタイルを築いてきた北欧スウェーデン。そんなスウェーデンの人々が大切にする時間のひとつに、FIKA(フィーカ)の時間があります。フィーカとはお茶の時間のことで、友人や家族、仕事仲間と過ごすひとときのこと。今号では 菓子研究家の長田佳子さんをナビゲーターに迎え、スウェーデンの暮らしに欠かせないフィーカの時間をのぞきに、クリエイターやパティシエ、コーヒーやお茶の専門家を訪ねます。
Editor’s Note
No.55 — SWEDEN(2017)
フィーカなしにスウェーデンはない!
文:ルーカス B.B.
“フィーカ”とは、スウェーデンの言葉でコーヒーを飲む時間、つまりお茶の時間のこと。スウェーデンの人々は、朝でも、昼下がりでも、夕方でも、夜でも、いつでもフィーカをする。家で、職場で、カフェで、家族や友人、同僚、それからこれから親しくしたいと思う相手を誘ってフィーカする。
このシンプルな行為には、じつは文化的な意味合いもあって、思想的な要素も含まれている。フィーカはスウェーデンの社会や文化のなかで育まれた習慣のひとつで、質の高い時間を確保するための方法。そう、スウェーデンの人々には毎日、フィーカの時間が与えられているのだ! 1日に2回でも、もっと多くてもいい。フィーカは、単にコーヒーを飲むというだけでなく、生活をより豊かにするための口実でもある。だから政府や企業がフィーカを積極的に取り入れることを推奨しているのだ。スウェーデンの企業は、毎日10時と15時ごろ、フィーカの時間を取ることを義務づけられている。
フィーカには必ず甘いお菓子がついてくることも忘れてはいけない。シナモンバンやケーキ、7種のクッキー、それから手軽に食べられるオープンサンドなどもフィーカのお供。最も一般的なフィーカの飲み物はコーヒーだが、お茶やコーディアルドリンクなどでフィーカをする人もいる。フィーカのおやつは、たいてい陶器の皿に盛られ、飲み物はスティグ・リンドベリがデザインしたようなカラフルな花柄のカップや、シンプルな白いカップに注がれる。
会社ではカジュアルなミーティングの場として、フィーカを取り入れることもある。かしこまった会議とは異なり、間欠泉のようにいいアイデアがふっと浮かんできたりするのも、フィーカならでは。リラックスした状態だから、それぞれの考えを心地よくシェアし、意見も言いやすかったりするようだ。
フィーカをすると、内面的にも身体的にもいい作用がもたらされる。時間を共有し、お互いを見つめながら話すことで、本物の質の高い時間を楽しむことができる。そう、フィーカは、陽だまりにいるかのような心地いい時間。良い仲間、思いやりのある関係性、体にやさしいお菓子や良質なカフェインが、最高に満たされた時間をもたらしてくれるのだ。
Soundtrack
SWEDEN
PAPERSKY Soundtrack For Travelers
旅する音楽 スウェーデン編
これから旅に出る人たちのために選んだ、架空の旅の音楽「PAPERSKY Soundtrack For Travelers 旅する音楽」。SWEDEN | Fika 特集に合わせてセレクトした珠玉のサウンドトラックです。
Selected by:
GOOD NEIGHBORS’ MUSIC VENDER
- A SMILE WILL TAKE YOU FAR / Johan Christher Schütz
- PEOPPLE WITHOUT FACES / Tages
- TIDE OF FATE / Life on Earth!
- WALES / Testbild!
- DANCE, DANCE, DANCE / Lykke Li
- NOVEMBER / Musette
- HAPPINESS / Xylofonorkestern
- HAND ON YOUR HEART / José González
- STRANGE THINGS WILL HAPPEN / The Radio Dept.
- DON’T LET ME BE LONELY TONIGHT / Nils Landgren