【Togetherness】
主義や価値観の違いなんてあたりまえ。
だからこそ、そんな違いを尊重しあうことができれば、
きっと、ひとつになれるはず。 みんな、いっしょに、前を向いていこう。
【Originality】
だれもがありのままに、自分らしく生きることができれば、
もっと、世界はおもしろい。
さぁ、自分らしさを研ぎ澄ませよう。
【Doing Good】
わたしたち、ひとりひとりにできることは小さい。
だけど、みんなができることを積み重ねれば、
大きな課題だって、かならず解決できる。
地球のため、仲間のため、そして、なにより自分のために。
「こんにちは!」と取材前の緊張を吹き飛ばしてくれるような笑顔で、取材場所に現れたノイハウス萌菜さん。環境活動家として、プラスチックストローの代替品となるステンレスストローのブランド「のーぷら No Plastic Japan」(以下のーぷら)の代表であるとともに、オーガニック食品を量り売りにて販売するお店の広報も務め、またラジオ番組のナビゲーターとしても活躍している。そうした多岐にわたる活動を通して、他の先進国と比較して環境保護の意識が低いとされている日本の状況を少しでも好転させるため、気づきやきっかけを与える活動を続ける彼女に話を聞いた。
ノイハウスさんが「のーぷら」を始めたのは、イギリスから日本に引っ越してからのこと。一時帰国で訪れるのとは違い、生活をしていく中で、使い捨て製品の多さに驚いたそうだ。
「7年前に日本に引っ越して来た際に、イギリスで生活しているよりゴミがかなり多いことに疑問を感じました。例えば、当時の職場の同僚が毎日捨てているコンビニ弁当容器とカトラリー類の多さをみて、すごくもったいないなと思ったんです。そこでこの状況を少しでも改善するために自分でも何かできないかと考えた時に、バリ島のカフェでドリンクに竹のストローを使っていたことを思い出して、これならみんなも馴染みやすいし何度も使ってくれるかなという思いで、ステンレスでストローを作ってみました」
そんな経緯でスタートした「のーぷら」のストローは、スタートさせて5年が経ち、元々は個人のお客さんへの販売が中心だったそうだが、今では飲食店内で使ってもらったり、雑貨として様々なお店で取り扱ってもらうことに集中しているそうだ。今回の取材場所にもなったBricolage bread & co.でもステンレスストローを導入しており、それらを使用してドリンクが提供され、店頭での販売もされている。
「私個人がSNSを通して伝えるだけでなく、飲食店で取り扱っていただき、そのお店に来た方が実際にこのストローで飲むという体験をしてもらうことで、こうした些細なアイテムからも環境保護につながる活動ができるんだという気づきを与えられるんじゃないかと思うんです。ですので、今はどれだけ売れたかより、どれだけのお店で取り扱っていただけているかを、普及のポイントとして重要視しています」
ノイハウスさんは「のーぷら」の活動にとどまらず、日本初のゼロ・ウェイストなスーパーマーケットを京都にオープンした「斗々屋(ととや)」の広報としても活動中。
「斗々屋では、食品を個包装しないため、ここだけで買い物をした場合、本当にゴミがゼロの生活ができるんです。ただ、そうした生活とのギャップが大きいお客様もまだまだいらっしゃいますので、10月にオープンした代官山の3号店では、より利便性を考えて、お客様に容器を持参していただくことよりも、リターナブル(デポジット制)な容器に入った商品展開に注力しています。試行錯誤をする中、社会の実情との歩みよりも必要なんだと考えるようになりました」
そうした斗々屋での経験と学びは、ノイハウスさん自身の環境にも変化があったこともあり、個人としての考え方の変化にもつながったそうだ。
「以前は絶対こっちの方が環境にいいよね? と割と白黒つけて意見を主張できていたのですが、自分自身が、子供ができて、今まで通りに物事に時間を割くことができなくなる中で、様々な理由でやりたくてもできない人もいるということを強く感じました。なので、斗々屋や私自身の環境の変化の中で、様々な側面からの考えに対して理解が深まりました」
そして3年前からナビゲーターを務めるラジオJ-WAVE「STEP ONE」への出演も自身の考え方、特に伝え方という面で変化をもたらしているという。
「ラジオを始めるまでは、環境活動家の皆さんと一緒に色んな問題を共有して良くしていこうという動きがほとんどだったので、海外では語られているけど日本ではまだ話題になってないあらゆる社会問題についてもラジオでは伝えていくべきであると思っていました。けれど出演回数を重ねるごとに、重いニュースだからインパクトがあるわけでもなく、ポップな話題でも、そこから考えが深まることもあると考えられるようになっていきました」
ノイハウスさんは、のーぷら、斗々屋での広報、ラジオナビゲーターと、自身の活動のなかで、動きながら学び、試行錯誤している。それは活動が少しでも周囲に良い影響を及ぼし、一人ひとりができることから社会課題に取り組んでいってもらうためだ。最後に、今後の活動についてこう話す。
「最近は、斗々屋やラジオで学んだこと、そして出産などが重なり、良い意味で自分のトゲがなくなったのかなと思っています。子育てで時間もなく、環境活動家として今まで通り活動できなくなっている自分も受け止めつつ、世の中への広め方という部分でも変化が現れてきました。みんながちょっとずつ社会問題について考えて行動することで大きな変化が生まれ、それがきっと住みやすい世の中につながっていくと信じて日々できることから活動を続けていきます」
小さな気づきや、それをきっかけにした環境や社会に対するアクションが少しずつ増えて、やがて大きな力になる。そのためにポジティブに活動を続けるノイハウス萌菜さんのように、今日も自分らしく、もう一歩、外に。
ノイハウス萌菜
イギリス育ちで、ドイツ人と日本人のハーフ。2児の母でもあり、現在は「のーぷら No Plastic Japan」の代表を務めるほか、斗々屋の広報、J-WAVE「STEP ONE」でナビゲーターも担当するなど、マルチに活動を続けている。