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Kyushu's National Parks
Interview

kiitos

おいしいチョコに隠された豊かなストーリー。
九州の南の果て、不思議な小学校の跡地へ。

 

03/05/2021

福岡から始まったPAPERSKYのロードトリップは、佐賀、長崎、大分、熊本、宮崎を経て、最終目的地の鹿児島鹿屋へと行き着いた。ここは大隅半島、かつては海に最も近い小学校と呼ばれた「菅原小学校」の跡地。今では「ユクサおおすみ海の学校」という名の施設となり、宿泊所や食堂、カフェ、サイクリングショップやカヤックショップなどが軒を連ねるユニークなスポットとして知られる。その一角でチョコレートの製造工場「kiitos」を運営するのが大山さん夫妻だ。聞けば、真司さんは福祉事業所を運営しているという。なぜ、福祉の業界に身を置きながらチョコレートをつくるという発想が生まれたのだろう。

「なにか新しいことをやりたかったというのがひとつ。そして、他ではやっていないようなものづくりをしたいと思うようになりました。同時に、障害者の力になれるような場所というか、彼らが自立できるような仕組みがつくれたらすばらしいなって。チョコレートづくりは細かい分担作業で成立するので、様々な障害を持った方が力を発揮できるんです」

質の良い豆をピッキングする作業、ひたすらカカオを細分化する作業など、根気や集中力を要する地道な作業を得意とする障害者は多く、彼らの仕事のクオリティがそのままおいしいチョコレートづくりに直結していると真司さんは話す。

「パッケージのデザインを描くのが得意な方も多い。ユニークで魅力的な絵柄もkiitosのオリジナリティ。今は彼らの得意分野を最大限活かした上で、質の高いチョコレートづくりができていると実感しています。kiitosに関わるすべてのスタッフが、豆の状態からパッケージにして販売する最終段階まで、丁寧に、こだわりをもって、本物のチョコレートをつくっていきたいという想いを共有しているんです」

九州の南の果て、スケルトンに設計されたオシャレなチョコレート工場の背景に潜む、なんだかちょっと楽しいストーリー。大山さん夫妻の熱い想いが込められたkiitosのチョコをかじると、確かに深く、濃く、爽やかで、楽しげな香りが一気に口のなかへと広がっていった。

KIITOS
カカオ豆から作ったチョコレート本来の香りと味わいを楽しめる、こだわりのメイド・イン・鹿児島のチョコレート。
PAPERSKY no.63 | KYUSHU’S NATIONAL PARKS
九州の4大国立公園を巡り、各地の「食」をサンドウィッチで味わうロードトリップへ。旅のゲストは「CHALKBOY」こと吉田幸平さんと「青果ミコト屋」鈴木鉄平さん。
text | Miguel Utsunomiya photography | Masahiro 'Lai' Arai (SunTalk)