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Japanese Local Cuisine

けの汁(青森県)

minokamo

料理家・写真家のminokamoさんが、日本各地で出会った郷土料理を、レシピと共にご紹介。それぞれの地域で大切に受け継がれてきた料理には、土地の風土や暮らしの知恵が詰まっています。この先もずっと残していきたい “ニッポンのお母さんの味” を、ぜひお試しください。美味しく、楽しい時間となりますように。

10/04/2022

材料(4名分)

A
・高野豆腐(凍豆腐) … 1個
・大豆 … 100g(水で戻すと300g位)
・油揚げ … 1枚 
・こんにゃく … 1/2枚(100g)
・人参 … 1/2本
・大根 … 10cm
・ごぼう … 1/2本

わらび水煮 … 8本位
みそ … 大さじ4位 
醤油 … 大さじ1/2

(出汁)
出汁用昆布 … 10cm
にぼし … 4尾
水 … 600cc



作り方

1. 大豆はたっぷりの水に半日〜1日つけておく。高野豆腐は水に30分ほどつけておく。頭と内臓は除いた煮干しと昆布は、水600ccに半日ほどつけておく。

2. こんにゃく、人参、大根は、高野豆腐、油揚げは1cm角にカット、ごぼうは皮を包丁の背で除き、5mmの輪切りにして水につけアクを除く。わらびは、長さ1cmにカットする。

3. 水で戻した大豆は、すりばちに入れてつぶつぶが残る適度にする。途中ででた大豆の薄皮は除く。フードプロセッサーの場合は、薄皮は細かくなるので除かなくてよい。

4. 鍋にAと出汁を入れて中火で煮る。アクが出たらのぞく。昆布がやわらかくなったら一度取り出し、1cm角にカットして鍋に戻す。素材に火が通ったら、すった大豆も入れ、ひと煮立ちしたら、味噌と醤油を入れて出来上がり。味噌の量は具材の大きさにより調整する。

青森県の弘前の食堂のお母さんから教えていただいた、津軽を代表する小正月の郷土料理。塩漬のふき、山菜、高野豆腐、こんにゃく、根菜野菜、焼き干しと昆布だし、それから細かくすった大豆を入れて味噌で味付けした精進汁。特徴的なのが、大豆を細かくすり、全ての材料をさいのめに切っていること。元々津軽ではお米がとれなかったため、お米に見立てたと言われています。大鍋に作り、味付けを濃く仕上げ、凍った汁を小鍋に少しずつ移しながら食べていました。味を濃くすることで日持ちよく、女性たちの家事仕事が楽になる一品は、一年の無事を願って食べます。細かく切ってあるので、一口で色んな歯ごたえと風味が広がる贅沢な汁です。

今回は「煮干し」を使いましたが、青森のだしの特徴のひとつ「焼き干し」を使うこともあります。いわしの頭と内臓を除いてから串にさし、焼いてから干すという作るのに大変手間がかかるものです。けの汁は家庭によってそれぞれの味がある、栄養たっぷりの汁です。


minokamo | 料理家、写真家
岐阜県出身。子供の頃、祖母と楽しく作った料理の思い出が料理活動のきっかけ。「ひと皿」の中にも、風土・歴史・暮らしが詰まっている各土地の料理を取材、執筆、アレンジなどしている。minokamoが各地の家庭訪ね料理をまとめた「料理旅から、ただいま」(風土社)、新刊「粉100、水50でつくる すいとん」(技術評論社)発刊中。