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Cosmic Pizza
食べる地球暦、コズミックピザ

vol.4 切り分けて 春分・秋分 均等に

地球暦は丸い。ピザも、丸い。
地球暦の視点から宇宙の理を読み解き、ピザで表現する。
食べる暦。それは、宇宙初の新しい試み。

01/14/2022


最重要のバランスポイントはイクイノックスと心得よ

地球暦の考案者・杉山開知が、そのときどきの、リアルタイムの星の動きを解説。その話からインスピレーションを受け、スウェーデンのピザ屋「Omnipollos hatt」がピザを創作。地球暦×Omnipollos hattのコラボレーションにより、新作メニューが毎回誕生します。

Equinoxes & Solstices
2022年 二至二分

3月21日 春分
6月21日 夏至
9月23日 秋分
12月22日 冬至



スタートは、完璧なバランスから

あなたは、1年が始まる日はいつだと考えているだろうか。1月1日だと思う人が多いかもしれないが、じつは始まりにふさわしいのは、何をおいても春分の日だ。

「西暦の区切りを年始としている今の私たち日本人ですが、体感的にはいまだに卒入学がある新年度、つまり春分あたりに境目を感じていませんか。桜の花が咲いているのを見ると、えもいわれぬ終わりと始まりの予感に包まれるでしょう?」

そう、植物も春に芽を出して営みを始め、秋を迎えるとともに実になり、結実していく。生態系生物時間の区切りもやはり、春分にあるのだ。

実際、マヤ、インカ、エジプト、シュメール、バビロニア、アイヌなどの太陽信仰の文明において、古来から世界中の多くの人々が春分を起点としてきた。天文学の原則に照らしてもそれが妥当だ。地球上のどこにいてもその日、日の出は真東から昇り、太陽の光が赤道上から地球の中心に向けてまっすぐに当たる。太陽黄経0度の原点、太陽暦のスタートライン。北と南に同量の光が当たり、北半球と南半球のバランスが揃う一瞬。昼夜が等分され、陰陽は中庸になる。それは季節の最適なスイッチングポイントだ。だから開知さんは毎年、春分にはご来光を拝み、新年を祝福する。

「地球暦でもやはり、春分を元旦と捉えています。なんといっても宇宙的根拠がある、始まりの日ですから」



中庸の春分と秋分

春分のちょうど対極にある秋分もまた同じく、陰と陽がきれいに分かれ、昼と夜の長さが等しくなる。これから夏へ向かうか、冬へ向かうかという違いはあるが、北と南が、東と西が、昼と夜が、明と暗が、どちらにも傾かずにちょうど釣り合う中道の日であることは共通している。

春分でも秋分でも、当日の前後3日間を含む彼岸の期間は、心身のバランスを調えるのに打ってつけの機会。

「弦は張りすぎても、たるみすぎても、よい音を奏でません。ほどよい緊張感で調律する必要があるのです」

地球がバランスをとるタイミングと合わせて、自身のバランスも図ってみるといい。地球の生き物として、地球と調和することは、理にかなっているはずだ。



季節は巡る

地球は1日に1回自転するが、1年かけて太陽のまわりを1周する公転の面に対して23.4度傾いている。この傾きのおかげで季節というものが存在するのは誰もが知るところだ。夏には高い位置から多く、冬には低い位置から少なく太陽の光が当たる。この光の当たり方の変化によって四季を区切っている。

1年間をサークル=円で捉えてみよう。ピザのように横にハーフカットして、切れ目の右を春分、左を秋分とする。先述したとおり、1年のうち、光がちょうど均衡を保つふたつのポイントだ。そして、上のハーフカットの頂点を夏至、下のハーフカットの頂点を冬至とする(二十四節気でも、このふたつの至り(夏至/冬至)とふたつの分け目(春分/秋分)を二至二分と呼び、最も重要な節目としている)。

つまり上半分は春夏、下半分が秋冬となる。もっといえば、上半期が陽・明・暑で、下半期が陰・暗・寒。対照的な要素だが、ともに存在し、合わさることで、サークルが成立するのだ。

「春から始まる四季を起承転結にたとえれば、今がどういう時期なのかが必然的にわかるでしょう」

順序正しく季節は巡り、循環は繰り返す。でありながら同じ日、同じ時は一瞬もないという奇跡がそこに共存する。日々の生活がカレンダーによって管理されるのではなく、暦を自ら能動的に利用していくことで、地球のサイクルに自身を同調させる。そのことが招く気分、体調、魂の行方を、どうか想像してみてほしい。



対照的にバランスする、ハーフ&ハーフ

春分をテーマにした開知さんの話からインスパイアされてOmnipollos hattが焼き上げたのは、タルトのようなデザートピザ。闇/光と日時計をキーワードにイメージをふくらませていった。

「ハーフカットの半分は春分から秋分までの明るい季節を、アプリコット、地元産のりんご、それにアプリコットとレッドカラントのジャムで表現しました。もう半分は、秋分から春分までの対照的な季節の雰囲気にしたくて、ブルーベリージャム、プラム、ミントの葉で冷たさと暗さをフィーチャーしています」

さらにハーフ&ハーフの中心には、キャラメリゼのオレンジで、すべてをコントロールする存在である太陽の要素を。見た目にも味にも強力なエッセンスが加わり、オリジナルのピザが完成した。

A SLICE OF SPACE
デザート・イクイノックス(ハーフ&ハーフ)


光に満ち溢れていく春分と、厳しい冬を予感させる秋分と。北欧のよりハイコントラストな上半期と下半期を、フルーツをたっぷり使ったデザートピザで、美味しく表現!



杉山開知 Kaichi Sugiyama
1977年、静岡県生まれ。独学で暦を研究、地球暦考案に至る。じつは地球暦誕生のきっかけのひとつは、ピザ屋のアルバイトで時間についての極まりを経験したことにある。

HELIO COMPASS
地球暦とは、太陽系時空間地図。宇宙の太陽系の惑星である「地球」にいる自分が、今がいつで、どこにいるのかがわかる暦で、民族や国を超え、地球人であれば誰もが理解でき、共通して使えるのが特徴。時代的思想や政治目的に左右されることなく宇宙の理を提示している点で、根本的でありながら画期的な発明。
OMNIPOLLOS HATT
ストックホルムにあるピザとクラフトビールの店。このほど日本橋にビールスタンド「オムニポロス東京」をオープン。紹介したピザは、オーナー兼料理人で、アーティストでもあるビヨン・アルダックス作。
time reader | Kaichi Sugiyama pizza creator | Björn Atldax text | Mick Nomura (photopicnic) phography | Gustav Karlsson Frost