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WORKING FISHERMAN vol.6 鳥取県漁業協同組合 眞田美幸さん

ノルウェー発祥のアウトドアブランド、ヘリーハンセンは、1877年、商船隊の隊長だったヘリー・J・ハンセンが、極寒の海で働く漁師のために、激しい雨や雪、寒さなどから身体を保護する防水ウェアをつくったのがはじまりだった。「H […]

10/16/2017

ノルウェー発祥のアウトドアブランド、ヘリーハンセンは、1877年、商船隊の隊長だったヘリー・J・ハンセンが、極寒の海で働く漁師のために、激しい雨や雪、寒さなどから身体を保護する防水ウェアをつくったのがはじまりだった。「HELLY HANSEN × PAPERSKY WORKING FISHERMAN」は、各地で活躍する若い世代の漁師を訪ね、漁師という職業の魅力や仕事にかける想いを通して、創業時より変わらないヘリーハンセンの精神を再確認していくシリーズ企画。第6回目は、鳥取県福部町・岩戸漁港へ。
日本海に面した、約129kmの海岸線を有する鳥取県。そのうち6割は、山陰海岸ジオパークに認定された美しい砂浜海岸が広がり、大山の火山岩からなる天然礁があることから、四季を通して豊富な魚介類が水揚げされる。
かつて鳥取の夏泊海岸は、山陰地方で唯一の海女が活動する場所として、伝統的な素潜り漁が400年以上受け継がれてきた。1950年代に30人ほどいた海女は、高齢化や後継者不足のため、2015年に組合の解散を余儀なくされた。眞田美幸さんは、鳥取砂丘の東部にある福部町・岩戸漁港で働く鳥取県最年少の海女。2017年4月に独立し、先輩の海女さんと共に岩牡蠣やわかめなどの素潜り漁に力を注いでいる。
「高校生の時に、大型漁船で大量の魚を獲る漁師さんの姿をテレビで観て、好きなだけ魚が食べられて、一度の漁でたくさん稼げる漁師という職業に憧れていました。でも当時は、女性は漁師にはなれないという固定概念があったので、短大でデザインを学び、卒業後は写真館でカメラマンをしたり、フィットネスクラブで働いたりしていました。
その頃、たまたまテレビで海女さんが研修をしているのを観て、鳥取でも海女になれることを知って。小学校の時に水泳を習っていたし、素潜り漁であれば力がない私でも海女さんになれるのではと思ったんです。
早速、漁協に問い合わせたら、受け入れ態勢が整うまで待ってほしいと言われて。先輩海女さんが研修中のため、同時に新人ふたりの面倒を見きれないという理由でした。半年ほど待って、運良く海女の研修を受けるスタートラインに立つことができたんです。
漁協の方には、海女の仕事は3K(稼げない、危険、汚い)だから本当になりたいのか念を押されましたが、私は何も迷うことも心配することもなかった。実際に、海に潜って、何かを探して獲るという一連の作業が、私にとって予想以上に楽しかったんです。
福部の海では、春にわかめが獲れ、6月から8月は岩牡蠣が最盛期になります。9月以降はサザエやアワビ、イガイなどが獲れる。10月末までしか潜れない決まりなので、冬の期間はアルバイトをするしかない。研修で1年の流れを経験してみて、素潜り漁の他に何かプラスアルファのことをしないと、生活をしていくのが難しいことを実感しました。昨年からは、乾燥の絞りわかめもつくり始めたので、加工品が量産できるようになれば、今より少しでも収入面で助かるはず。
でも何か新しいことを始めようとすると、女性だからという理由で地元の漁師さんにはまず無理だと言われてしまう。だからしっかり準備をして、あきらめずに声をかけさせてもらうしかない。何度も相談していると、最終的に協力してくれる。最近、自分の船を買って、女性でもできるあみ漁やかご漁のことも教えてもらったので、今後挑戦していきたいですね。
他の漁師さんが出港している日でも、少しでも海が荒れていたら、船が小さく波の影響も大きいので、やめるかどうか慎重に先輩と相談します。港の先まで行ってUターンして戻ったことも何度もある。少しでも稼ぐためには、多少の危険があっても出たい気持ちもありますが、安全第一を考えてやっていますね。
海女さんは増えてほしいです。でも、現時点で私自身の生活がままならないレベルで、誰かを誘うことは絶対できない。しっかり稼いで海女業で生活ができる基盤がつくれたら、後輩も増えていくかもしれない。
伝統的な職業として海女の仕事はおもしろいので、後世にこの文化を残していくことが私の使命だと思ってます。夏泊のベテラン海女さんから、いろいろと引き継げられたらよかったのですが、私が海女になる前に組合が解散してしまったから、新しい海女のかたちを一からつくっていくしかない。この仕事に定年はないし、おばあちゃんになるまで続けようと思っています。
 

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