ブリュッセル『wabi sabi shima』 展を見て

日本から見るとヨーロッパは近いのに、ヨーロッパに来るととたんに日本が遠くなってしまう。むろん物理的な距離の話ではなく、気持ち的なところ。日本でヨーロッパ文化の情報は多い(かつ、いろんな物がどんどん入ってくる)のに対して、 […]

08/17/2015

日本から見るとヨーロッパは近いのに、ヨーロッパに来るととたんに日本が遠くなってしまう。むろん物理的な距離の話ではなく、気持ち的なところ。日本でヨーロッパ文化の情報は多い(かつ、いろんな物がどんどん入ってくる)のに対して、ヨーロッパで見る日本の文化はかなり限られている。アートの分野では村上隆や草間彌生、奈良美智が有名だけれども、kawaiiやmangaではない日本人アーティストの存在感は薄い。こうした流れはいつか変化していかなければ、日本のアートは国内だけで消化されるものになってしまい、広がりの狭いものとなるだろう。
4月から5月にかけてベルギー・ブリュッセルで行われた展覧会『wabi sabi shima』は、そんな流れを少し変えてくれるかもしれない予感がするものだった。ベルギーをベースにアート基金「Thalie Art Foundation」を主催するNathalie Guiotと パリを中心にアーティスト活動を行うPhilippe Terrier-Hermannの二人がキュレーターとなり、日本人および日本をテーマにした海外アーティスト約30人/組の作品を集めた展覧会だ。
「この展覧会のテーマは日本の複雑性、自然災害、福島第二原発事故の後といった要素。kawaiiの要素はもともと求めていなかった。面白かったのはアーティストらにヒアリングをしてみると、日本の哲学、精神性、宗教につながっていくこと。それを空虚の中にも美を見いだす’わびさび’を用いて伝えたかった」とNathalie Guiotは説明する。
「わびさび」が日本人にとってはピンとこないかもしれない、でも海外でそう解釈されることが分かりやすさを促すのであれば、それが正解なのではないだろうか。
私がこの展覧会に足を運んだ日は雨だった。にも関わらず、展覧会場には来場者が引きも切らずやってくる。池田光弘、鈴木理策、須田悦弘、山部泰司、保井智貴、米田知子ら、出展者の多くの作品は、派手さや見た目のインパクトがあるというものではない。静かに、だが力強く訴えるもの。こうしたアート作品でも、理解するヨーロッパの人々もいる。
出展した一人、保井智貴は「海外での日本のアートは漫画などのサブカルの影響が大きいのは事実。でもそれだけではない、ということもきちんと言っていかないといけない」と言う。
ヨーロッパと一言で言ってもその地域や都市により、好みも異なる。保井が「フランス語語圏で理解されやすいセレクションだったようにも思う」というように、今回の展覧会は地域的にフィットしたものかもしれず、つまりヨーロッパ全般に正解というわけではないだろう。また、非manga、非kawaii的なアートを紹介する決定的な突破口になるとも思えない。とても地味なことかもしれないが、こうした展覧会が断続的に続くことで、日本のアートは間口が広がっていくのだと思う。