VOLCANO | 地球の鼓動に耳を傾ける | Retreat Style 1

地球創生の壮大なプロセスには、人間が制御できない壮大な力が働いている。そんなことをあらためて感じさせてくれるのが、ハワイ島の活火山だ。世界有数の活火山、キラウエアとマウナ・ロアを擁するハワイ火山国立公園は、その火山環境を […]

03/18/2020

地球創生の壮大なプロセスには、人間が制御できない壮大な力が働いている。そんなことをあらためて感じさせてくれるのが、ハワイ島の活火山だ。世界有数の活火山、キラウエアとマウナ・ロアを擁するハワイ火山国立公園は、その火山環境を守るためにつくられた施設である。1,335km2にも及ぶ園内に広がる、生命をまったく感じさせない、漆黒の溶岩台地。日本のそれより流動的なマグマが絶えず流れ出して、独特の景観をつくり上げている。
一見、不毛に見えるこうした火山地帯は、じつは動植物の宝庫だ。海抜ゼロの低地帯から標高4,000mを超える高山帯の荒地までをカバーするこの国立公園には、それぞれの標高・気候に適応した生物や植物が生息する。溶岩の被害を免れた古い森のなかには、絶滅の危機に瀕しているハワイ固有の動植物の保護区も整備されている。長きにわたって外界と隔絶されたハワイ島では、風や波、鳥によって太平洋を運ばれた種子が草食動物という天敵のいない環境に根づき、十数万年もの年月をかけて独自の進化を遂げた。なかには、花を模した形のくちばしをもつ鳥もいる。植物と鳥が共進化したすばらしい一例だ。
こうしてハワイ島では破壊と再生、それぞれの物語が繰り返されてきた。人が住む土地はすべて、火山によってつくられたもの。夕暮れになると、溶岩大地のあちこちに鮮紅色の溶岩が浮かび上がる。ぼっこりと口を開けたハレマウマウ・クレーターの周辺では、フラやロミロミのクムたちが火の神ペレに祈りを捧げている。ペレの怒りはときにとんでもない災厄ともなるけれど、火星のような火口を臨めば納得する。それが自然のサイクルなのだ、と。
» PAPERSKY no.56 HAWAII | RETREAT Issue