ニッポンの魅力再発見の旅 宮古島

沖縄本島から宮古海峡を飛び越え、290km。宮古島と7つの島、宮古諸島にたどり着く。独自に発展した、みゃーくふつ(宮古方言)や、御嶽信仰、ウヤガン祭やパーントゥなどの稀有な祭祀……。輝くばかりの青さと神秘に包まれた、南の […]

05/21/2018

沖縄本島から宮古海峡を飛び越え、290km。宮古島と7つの島、宮古諸島にたどり着く。独自に発展した、みゃーくふつ(宮古方言)や、御嶽信仰、ウヤガン祭やパーントゥなどの稀有な祭祀……。輝くばかりの青さと神秘に包まれた、南の島の旅へ。
「宮古ブルー」と讃えられる島の青さは、旅人を惹きつける魅力とエネルギーに溢れていた。空はどこまでも清々しく、透きとおる海は神秘的ですらあった。「橋の上からウミガメの泳ぐ姿が見えるんです」と、島の人は誇らしげに笑う。橋とは隣接する池間島、来間島、伊良部島へとかかる、歩道のある道路橋のこと。160km2に満たない宮古島はどこにいても、たとえばガジュマルの生い茂る鬱蒼とした森を歩いていても、ほのかな潮の香りや湿った空気が、海の気配をいつもすぐそばに感じさせてくれる—。
那覇空港から50分のフライトを終え、レンタカーに乗り込んだ。幹線道路を走り市街地へ。漠然と長閑な田舎と海ばかりをイメージしていたので、本土の地方都市と同じような繁華街があるのは意外に映った。しばらく眺めていると、建物のほとんどが箱型のコンクリート建築だと気づく。商業施設も、民家も、畦道にポツンとある農具小屋さえも。—台風対策か—。そうわかってからは、外壁にところどころ施されているささやかな装飾、沖縄特有の「花ブロック」という幾何学模様に切り抜いた風通しのいいブロックが、とてもチャーミングに思えた。風土から生まれたデザインの実用美に、苦境にさらされても明るさを失わない、島人のスピリッツの一端を覗いた気がした。「それは孤島の宿命なんです。自然の驚異を受け入れ、乗り越えていく。“なにくそ、負けるか”という気持ちを表す島の言葉、“あららがま”の精神を、私たちは連綿と受け継いでいるんです」。祥雲寺の住職、岡本恵昭さんはそう言った。今回の取材のために関東から駆けつけてくれた書家アーティスト、新城大地郎さんのお祖父さんだ。親から子へ、そして孫へ。バトンをつなぐように伝承される高邁な精神性がゆっくりと語られていく。島に根づく、家族や集落の“共同体”の意識。それはやがて、島独自の祭り(祀り)につながる。御嶽という限られた者しか立ち入ることのできない神聖な場所で、口伝のみで存続する集落ごとの儀式や神歌により年に数度行われる秘祭。宮古ではそれが日常の延長に、当たり前のものとしてある。しかしそれも、近年はなくなったり徐々に形を変えていたりするそうだ。かつて大地郎さんはそれに危機感を抱いていたが、「集落のおばあたちに、それでいいの? って訊いたら、大丈夫、大丈夫さー、って」。何かが変わっても、根の部分、大切なものは変わらない。それが島の偉大さ、寛大さ。先祖が代々生きてきた術。悩む孫に岡本さんは「変わっていくのが歴史でしょ」と伝えたという。
ふと目覚めると、港の風景が広がっていた。それは大きな窓枠に切り取られ、まるで絵画のように見える。壁にかかるサンドアートで、「Hotel Locus」で朝を迎えたのだと思い出した。今年1月にグランドオープンしたこのホテルは、宿泊者をアクティブな気持ちにさせる。無駄を省いたシンプルな内装はスタイリッシュで、ホテルでぼやぼやくつろぐのではなく、せっかくの美しい島を体感してほしい、という粋な心配りが伝わってくる。「食や文化やスポット、当ホテルだけでなく、島全体をひとつの魅力的なリゾートとして提案しています」とマネージャーの高田和大さん。地元のアーティストや漁師や住民、地域とのつながりを大切にしているからこそ、スタッフは定番からコアまで島のスポットに詳しく、宮古ならではのハンドクラフト体験やマリンアクティビティも案内してくれる。フロント脇のショップには、島の伝統に現代的な感覚をプラスしたセンスのいいプロダクトが並び、「LOCUS TABLE」では島野菜や地産の肉や魚をふんだんに取り入れたポップなホテルグルメが朝昼晩と堪能できる。さりげなく島との一体感を感じさせるスタンスは「宮古に来たらまた泊まりたい」と素直に思わせてくれるし、とても居心地がいい。レンタルバイクがあるのもうれしいポイントだ。
この島は他にも「また来たい」だらけだった。行列のできる「モジャのパン屋」のパンは、素朴だけれどしっとりと深い素材の味がして、食べるとほんのりハッピーに。島の野菜とフルーツでつくる「ジュース屋うる」のスムージーや酵素ジュースは、明らかにここでしか飲めない品々で、身体にじんわり染みる感覚がクセになる。「じゃからんだ」はご当地グルメの極致。地元の旬が溢れんばかりにつまったメニューは、訪れる人々の五感を癒す。「夏になると、太陽のにおいがするのよね」。元気いっぱいな島の子どもたちが通う「はなぞのこどもえん」の園長、新城久恵さんは、嬉しそうに言った。「ここで暮らしていると、日々に追われてあくせくしてたらもったいないな、もっと広い心をもたなきゃ、って思えます」。
宮古島には、海のように深く、見た目以上に果てしのない美しさがあった。
  
PAPERSKY ツール・ド・ニッポン in 宮古島(2018.5.26-27開催)
http://archive.papersky.jp/tour/miyakojima/
PAPERSKY Tour de Nippon in 宮古島 Movie
https://www.youtube.com/watch?v=Bj17HqTyFHc
 
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