島で見つけた懐かしい味、豊かな生活

70年代にヒッピーたちが切り拓いたプナ地区のジャングルには、自給自足の暮らしを営むコミュニティがいくつも存在するが、そうしたコミュニティのなかに設けられたリトリート施設が「Kalani Retreat Center」だ。 […]

03/04/2019

70年代にヒッピーたちが切り拓いたプナ地区のジャングルには、自給自足の暮らしを営むコミュニティがいくつも存在するが、そうしたコミュニティのなかに設けられたリトリート施設が「Kalani Retreat Center」だ。ここは、ハワイの伝統文化と自然、ウェルネスにフォーカスしたNPO主宰の施設で、120エーカーという広大なジャングルに宿泊用コテージが点在する。ここに滞在しながらヨガ、フラ、エクスタティックダンスといったアクティブなプログラムから、瞑想、ハワイ語や古代ハワイの歴史、プランツ・メディスンといった文化的な講座まで、幅広いジャンルのワークショップを体験できるのだ。「リトリートはバケーションを目的とした旅とは異なります。自ら学ぼう、知識や体験を深めようという積極的な姿勢で臨むことが、リトリート施設を活用するコツ」と、プログラム・マネージャーのサムさんが教えてくれた。
持続可能型コミュニティに属するナチュラリストたちの溜まり場といえば、プナ地区のパホアの街にある「Tin Shack Bakery」と、地元の農作物だけを集めた「Green Lake Farmer’s Market」。どちらも地元に密着した店づくりでローカルに支持されている。
 「似たような価値観をもち、同じようなライフスタイルを志す人たちが集まって気軽におしゃべりできるスポットは、地元の情報交換の場であるだけでなく、コミュニティの心の拠り所。こういう場所がプナらしいなと思います」
プナで最大の規模を誇る「Maku’u Farmer’s Market」、ココナッツをベースにした手づくりヴィーガンアイスがウリの「Nicoco Hawaiian Gelato」、ヴィーガン&ベジタリアンに向けたスーパーマーケット「Island Naturals Market & Deli」など、プナにはヘルシー志向の食材を扱うスポットが目白押しだ。
ヒロに目を移せばサステイナブルやローカリティといったコンセプトはプナそのままに、店主の個性を感じさせるユニークなショップが軒を連ねる。ファーマーズマーケットから始まった人気のオーガニックグローサリー、「The Locavore Store」は、扱う商品の90%以上がハワイ島メイド、特に東側でつくられたローカルプロダクトをセレクトするというこだわりよう。食料品から健康食品、サプリに至るまで、オーナーの審美眼を貫いたマニアックな品揃えが受けている「Abundant Life Natural Foods」、つくりたてのコンブチャでローカルたちに発酵食品の奥深さを広める「Consious Culture Café」も、お気に入りのスポットだ。
「“私たちの身体は自分たちが口にしたものでできている”というけれど、そこでつくられたものをいただく行為は、土地のエネルギーをダイレクトに体に取り入れることになると思う」。
ただ買う、食べる、経験するだけでなく、生産者やつくり手に出会ったり、それがどうやってつくられているかを目にしたり、食材の背後にある物語に耳を傾けたり。そうしたプロセスが、ハワイ島の自然や文化、歴史をより身近に感じさせてくれる。
「ただの消費者からつくり手の理解者へ、一歩足を踏み出してほしいな」とジュンカさん。真摯なつくり手やストーリーのあるプロダクトと出会う街歩きのひとときが、新しい自分を見つける旅の思い出をより色鮮やかに彩ってくれそうだ。
» PAPERSKY no.56 HAWAII | RETREAT Issue