水とともに楽しむ、バルセロナのライフスタイル

グラフィックデザイナーのオマー・ソーサとフォトグラファーのナチョ・アレグレはともにバルセロナで生まれた、古い友人同士だ。ふたりは土曜の午後、仲間を呼んでしばしばプールでのパーティを楽しむ。オマーは言う。 「いろんな週末の […]

08/12/2013

グラフィックデザイナーのオマー・ソーサとフォトグラファーのナチョ・アレグレはともにバルセロナで生まれた、古い友人同士だ。ふたりは土曜の午後、仲間を呼んでしばしばプールでのパーティを楽しむ。オマーは言う。
「いろんな週末の過ごし方があるけど、ここ数年はプールのある友だちの家に行ったり、ビーチに行ったりして、パーティをするのがノーマルだね。パーティって言っても、いつも大騒ぎするわけじゃない。ほんの少しの酒と食材をそれぞれ持ち寄って、時間を気にせず夜までゆっくり楽しむ。お金もかからないしね。全員が集合するとまずはバムート(ベルモット)タイム。この街では、正午から3時位までをバムートタイムって呼んでるバルが多くて、この時間帯にバムートを飲むのが俺たちのちょっとした楽しみなんだ」
バルセロナ発のライフスタイルマガジン『apartamento』を5年前に立ち上げたふたり。毎号、世界中のクリエイターの暮らしぶり、プライベートルーム、インテリアなどを紹介するスタイリッシュな雑誌だ。現在、日本を含む35ヶ国で販売され、感度の高い読者から支持を得ている。
「ちょうど部屋の家具をそろえようと思って雑誌を探してたんだけど、カタログのような雑誌ばかりで俺たちの読みたいものが全然なかった。だから自分で雑誌をつくろうと思ったんだ。それぞれの望むライフスタイルがあって、そのためにインテリアとかオーナメントをどう心地良く構成しているかを紹介するメディア。テーマは、“ 生活の質”だ。俺たち自身もそれを追求して実践してるよ」
パリやロンドン、NYなどを飛びまわり、世界中のユニークな生活様式に日々ふれているオマーとナチョ。そんなふたりにベースとなるバルセロナの街、ここに住む住人が求める“ 生活の質”とはどんなものか訊いてみた。
「バルセロナの人間は毎日を楽しむことにどん欲だと思う。平日の夜12時からみんなで集まってパーティをすることだってめずらしくない。俺の場合、週に2〜3回、パーティを楽しんで日曜はたいてい、家族と過ごす。こうやってレイドバックしないと続かないだろう?」
ナチョは笑いながらこう話す。6月初旬のこの日。夜8時になってもまだ太陽は沈まない。そんなこともあって、バルセロナの住人は自然と長い夜の過ごし方が上手になると、オマーが続けた。
「それと、この街の人間はつくづくスポーツが好きだと感じるよ。ヨーロッパのなかでも特別にドライで、誰もが外に出たくなるような気候が一年中続く。小さいころはサッカーかスイミングのどちらかに熱中してたって人間が驚くほど多い。たとえば、ランブラス通りを街の南側に下っていくと段々とプールが多くなってすぐビーチにたどり着ける。街なかにはルーフトップにプールのあるアパートもたくさんあるしね。春から10月くらいまで、気軽に泳げるのはここの住人の大きな特権だ」
人と自然、建物やインフラが有機的につながり、労働者とブルジョアが等しく豊かに過ごす。こうした近代都市を目指し、1930年代初頭、バルセロナの街が都市再建計画に掲げたのは4 つのテーマだったという。このとき、コンセンサスを得たのは、「働く」「住む」「移動する」、そして「憩う」という4 つの機能。これを満たすべく街はしだいにデザインを変えてきた。「憩う」べき場所はもちろんビーチであり、広大な地中海。それゆえ居住地域と海辺をつなぐランブラス通りの重要性は古くから強く意識され、ビーチは美しく広く整備されるようになっていく。
働き、憩うことがセットで、生活の質を左右する。そして住人の意識には海で憩うイメージが深く浸透し、そのことが毎日の生活に潤いをもたらす。大都市でありながら、日常的に水と親しむバルセロナの住人。水着さえあれば、旅人だって彼らの気分がほんの少し味わえるはずだ。
» PAPERSKY’s BARCELONA | SWIM Issue (no.42)
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