君のペダルに、郷土菓子の夢をみる|PAPERSKY bicycle club

自転車・郷土菓子・旅のキーワードだけで、会いたいと思う人だった。郷土菓子研究社の林周作さんは、この瞬間も自転車で、旅を続けている。今はヴェトナムを発ち、上海を目指している頃だろうか。 屋号のとおり彼は、私たち日本人の知ら […]

05/12/2015

自転車・郷土菓子・旅のキーワードだけで、会いたいと思う人だった。郷土菓子研究社の林周作さんは、この瞬間も自転車で、旅を続けている。今はヴェトナムを発ち、上海を目指している頃だろうか。
屋号のとおり彼は、私たち日本人の知らない世界の郷土菓子を探る旅をしている。「自転車という手段を選んだのも、もとはお金がなかったからなんです」と話す周作さん。とにかく彼の原動力になっていたのは、郷土菓子の魅力の訴求、味を伝えたい、という夢でしかなかった。町の自転車店で勧められた自転車に、ネット通販で購入したバッグを自力でなんとか取り付け、旅は始まった。
2012年6月にフランスを発って、2014年2月ヴェトナムまで。始まりは1日3ユーロ。手持ちの1,700ユーロを、目的地への日数で計算した金額とはいえ、1日に使えるお金としては無謀にも聞こえる上限。聞けば宿泊は、インターホンを鳴らして飛び込みで泊めてもらっていたのだという……。聞けば聞くほど不安になる旅は、道中で盗難に遭いながらも、日本から応援する声や資金の援助があったり、旅で出会う人たちとの交流があったりで、たしかに豊かな経験が積まれている。
2015年春、本の出版のため一時帰国した林さんと、彼が生まれ育った京都で、モーニングをご一緒しながらいろんな話を聞くことができた。気づけば4時間ほど、私たちは夢中になっていた。また、次に会う場所をメールで相談していると「ネット環境のある珈琲店で仕事していますので、ごゆっくり」と返ってくる。
彼はきっと、日本にいても旅をしていても、いつもどおりの日々を送っているだけなのだろう。ただ異国の地にいて、移動手段が自転車であるというだけの日常。今日もWiFiを頼りに、カフェで作業中だろうか。当初の目的地、上海への旅は中国大陸の外周に沿うように北上するという。ペダルをこいで大陸をゆく、郷土菓子研究社という素敵な夢を、とにかく無性に応援したいと思っている。自分には果たせない、と思うしかできない私の分も、とにかく安全に美味しい旅をと、私は願う。
» PAPERSKY #47 San Francisco | Good Company Issue