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絶勝の地、キンタマーニ高原へ|BALI (1)

地球には、人間と同じようにチャクラが存在するといわれる。富士山やウルル、チチカカなど世界の名勝地が名を連ねるなか、第一チャクラに位置するのがじつは、バトゥール山らしい。最近では2000年に噴火し、溶岩流の跡が生々しく残る […]

10/03/2011

地球には、人間と同じようにチャクラが存在するといわれる。富士山やウルル、チチカカなど世界の名勝地が名を連ねるなか、第一チャクラに位置するのがじつは、バトゥール山らしい。最近では2000年に噴火し、溶岩流の跡が生々しく残る1,717mの活火山のたもとには、三日月形をしたカルデラのバトゥール湖が広がる。しかし午前3時、街頭などひとつもない真の闇では、目先の状況さえよくつかめない。部外者の私たちを警戒する犬たちに吠えたてられながら、ヘッドライトの灯だけを頼りに入山する。登山標識もなにもない。ガイドによればここは、地元の人が使うルートのようだ。闇のなかになにかが息を潜めているようで、私たちは黙々と、上を目指して地面を踏みしめた。
自分の身体が高度へ上がるのに比例して、あたりの闇の色が薄くなる。いつのまにか森林は消え、ときどき高山植物が生えるだけのごつごつとした山肌になっていた。振り返ると、はるか下方にはぽつぽつとともる人の暮らしの灯り、その上を厚い雲が覆い、雲間からはアバン山が突きでている。モノトーンのグラデーションが美しかった。ラストスパート。息を切らして黒い火山灰に覆われた急勾配の先が頂だった。別ルートでひと足早く到着した人たちが、コーヒーを飲んでくつろいでいる。バリではどこにでも犬がいるが、ここでさえ、おこぼれをもらおうと犬がトレッカーたちの足の間を歩きまわっていた。やがて、太陽が雲の向こうから顔を覗かせる。刻々と光に満たされるチャクラからの景色に、闇のなか4時間の苦行を経た私たちは、降参してしまうしかなかった。
Gunung Batur di Kecamatan Kintamani
Mudi Goes to the Mountain
Butan Manggis
Karangasem 80871, Bali
☎ 0363 41464
www.mudigoestothemountain.com
This story originally appeared in Papersky No.30.