日常と旅の風景印、自転車で出かける理由

出かけるときのわくわく、その理由はさまざまにある。誰かとの待ち合わせ、おいしいものが待っているとき、いつもの買い物でも、思いがけず寄り道できるかも、そう想像するだけで、気持ちが高揚する。どんな道を選ぶか、何を目指してゆく […]

09/08/2015

出かけるときのわくわく、その理由はさまざまにある。誰かとの待ち合わせ、おいしいものが待っているとき、いつもの買い物でも、思いがけず寄り道できるかも、そう想像するだけで、気持ちが高揚する。どんな道を選ぶか、何を目指してゆくか、すべてが自分次第。サドルにまたがったその瞬間から、望みのまま。あらためて自転車は、日々の暮らしに嬉しい魔法をかける道具のひとつだと、この日常のささやかな喜びをもって体感する。
そんな私がとりわけ胸躍らせるのが、赤いポストが目印の郵便局。各地を旅するときも、なにかの予定のついでにも、道中や周辺の地図に郵便局を探している。それは、お寺を巡って御朱印を集めるように、郵便局で〈風景印〉(正式名称は、風景入通信日付印)を集めるため。正しくは、風景印付きの手紙を出すという小さな喜びのため、である。
調べてみると、全国2万局ほどある郵便局のうち、約半数以上に風景印が配備されているという。インターネットの検索キーワードで“郵便局巡り”、“風景印”などと入力すれば、画像も含め情報に溢れている。住んでいる町、出向く町の目当ての郵便局に風景印があるかどうかは、できるだけ事前に調べておくほうが確実だ。押印も簡単。切手を貼った葉書や封筒を用意して、風景印のある郵便局の郵便窓口(またはゆうゆう窓口)へ行き、風景印を押して出したいと依頼するだけ。押印した郵便物は窓口の方へお渡ししなくてはならないので、写真を撮りたい場合はその旨も伝える。
このところメールやSNSでのやりとりも多く、とても便利に活用している。それでも、ときどきはペンをとり、その瞬間の思いを言葉にし、手紙にしたためるとホッとすることがある。そういえば、便利な乗り物でもある自転車のスピードでさえ、町のいろんなことを見逃していることも多い。だからツール・ド・ニッポンの旅でも、立ち止まって過ごす時間を大切にしているのかもしれない。 京都の舞妓さん、小豆島のオリーブ、伊勢の神宮。暮らしている町の景色、旅先で見た名所旧跡など、自転車で巡って目にした風景の描かれた消印を、言葉に添えて相手へ贈る。お返しは、鹿児島の西郷さん、北海道は礼文島の黒百合など、友の暮らす町や旅先の風景で。ほら、続けない理由が見当たらないわけですよ。