画家に永遠の霊感を与えた、多色の荒地|O’Keeffe’s New Mexico (2)

ゴーストランチはピンクやオレンジ、イエロー、赤、紫など、さまざまな色の砂岩でできた古代の丘が点在する荒地だ。2億2,000万年という長い時間をかけて風と水が大地を侵食し、この世のものとは思えない景観をつくり出した。「世界 […]

01/23/2019

ゴーストランチはピンクやオレンジ、イエロー、赤、紫など、さまざまな色の砂岩でできた古代の丘が点在する荒地だ。2億2,000万年という長い時間をかけて風と水が大地を侵食し、この世のものとは思えない景観をつくり出した。「世界で最も美しい場所」という噂を聞きつけたジョージア・オキーフが、アビキューの村から29km離れたここを探し当てたのは、1934年のこと。当時はアーサー・パックという環境保護活動家が観光牧場を営んでいて、東部の富裕層はここでバカンスを過ごしていた。
2,500万坪にもおよぶ広大な敷地に広がる、自然が織りなすカラーパレットにすっかり魅入られたオキーフは、パックが家族のために建てた自宅、ランチョ・デ・ロス・ボロスを購入する。その家からは、ネイティブアメリカンの聖地で“火打石”を意味するペダーナル山の山容と、多彩な色の絶壁が見渡せた。「その荘厳な風景を目にしたとき、こここそまさに自分が住む場所だと直感した」と、のちに語っている。以降、この家は40年にわたって彼女のインスピレーションの源となった。早朝、車で家を出ると、夕方になるまで炎天下でひたすら絵を描き続けたというが、1930年代以降を代表する風景画の多くは、ゴーストランチの自然をモチーフに描かれたもの。ここの黄土色の土を粉にして油と混ぜ、絵の具をつくろうとしたことさえあったらしい。オキーフはゴーストランチを完全に自分のものにしたかったのだ。
現在は広大な敷地にエデュケーションセンターとリトリート施設があり、オキーフの作品のモチーフとなった景観を案内するガイドツアーが随時、開催されている。
» PAPERSKY #58 NEW MEXICO|Outdoor Beauty Issue