中心地の植物園が示す、植生の豊かさと民度の高さ

オアハカの街の中心には、サント・ドミンゴ教会があり、その前庭にはアガベが植えられ、ジャカランダに似た樹木がオレンジの花を咲かせている。その光景だけでもメキシコの植生の豊かさを感じることができるが、教会には植物園が隣接し、 […]

08/28/2018

オアハカの街の中心には、サント・ドミンゴ教会があり、その前庭にはアガベが植えられ、ジャカランダに似た樹木がオレンジの花を咲かせている。その光景だけでもメキシコの植生の豊かさを感じることができるが、教会には植物園が隣接し、その植生がいかに変化に富み、多様であるかを教えてくれる。軍の施設だった場所に「Jardín Etnobotánico de Oaxaca(オアハカ民族植物園)」ができたのが1998年。コンクリートを剥がし、新たにオアハカ州全土から植物を集めてつくり上げた。標高差と土壌の変化に恵まれたオアハカには、南北アメリカ大陸からそれぞれ植物がたどり着き繁栄していった。たとえば針葉樹は北米から南下してきたものだが、世界で最も多様性がある土地がオアハカだという。さらにアガベ属のようにこの土地ならではの進化を遂げた種も多い。オアハカには200種近いアガベがあり、現在も新種を探しているという。アガベは飲食され、かつては繊維を洋服や靴に用い、怪我を治す薬として、さらに花の幹は建築資材としても使われた。日本人になじみの深いソテツも、オアハカが世界で最も多様性をもつ種のひとつだ。案内をしてくれた館長のアレハンドロ博士は、植えられたトウモロコシの原種では5本の茎が出ているのを示し、隣に植えた遺伝子組み換えのものでは茎が1本で、しかも子孫を残すことができないと嘆く。単に巨大なサボテンを愛でるだけでも十二分に美しく楽しいのだが、そこには植物と人間の営みの歴史とオアハカの自然への賛歌を読み取ることができる。街を出ればすぐに圧倒的な土地が広がるにもかかわらず、中心地に植物園をもつオアハカの文化度の高さをとても羨ましく思う。
>> PAPERSKY #57 MEXICO, OAXACA|Food & Craft Issue