メスティーソ独自の視点で、生と死を綴る|Art in New Mexico(4)

100年前の廃材や錆びたメタル、古い靴箱、スクラップ寸前の車やオートバイのパーツ。現代アーティストのニコラス・エレーラは、ジャンクとして見向きもされない素材をアート作品として蘇らせる。彼の作品を大きく貫くキーワードが「メ […]

04/17/2019

100年前の廃材や錆びたメタル、古い靴箱、スクラップ寸前の車やオートバイのパーツ。現代アーティストのニコラス・エレーラは、ジャンクとして見向きもされない素材をアート作品として蘇らせる。彼の作品を大きく貫くキーワードが「メスティーソ」だ。彼自身、ネイティブアメリカンの血が1/3混じっているメスティーソである。
「500年前、メキシコからスペイン人が“黄金の街”を求めてニューメキシコにやってきた。そしてスペイン人と先住民の混血であるメスティーソが生まれた。メスティーソは“人種の違うもの同士の混血”なんて単純なものではなく、それぞれの人生観、死生観、宗教観がDNAのレベルで混ざり合って渾然一体となったもの。僕の作品では、メスティーソの物語や独自の文化を表現しているんだ」
24歳のときに交通事故に遭い、生死の境をさまよった。以来、サンタ・ムエルテ(メキシコを中心に民間で信仰されている死の聖女)を身近に感じるようになったという。この体験が、彼の創作活動に大きな影響を与えることになった。
作品では、戦争やテロリズム、薬物やアルコールといった現代社会の悪と、カトリックやサンタ・ムエルテなどの宗教的なアイコンを対比させ、生と死、赦し、自身のルーツやこの土地に伝わる伝承を描いている。イエズスの誕生や磔刑、ヨハネの黙示録に登場する四騎士など、キリスト教的世界観をモチーフにしながらも、そこにはネイティブアメリカンならではの自然観が見え隠れする。その融合こそ、「南西部らしさ」といえるだろう。
Evoke Contemporary
https://evokecontemporary.com/Artists/nicholas-herrera.html
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