A.ジラードの世界観を凝縮した、驚異のジオラマ|Art in New Mexico(1)

アレキサンダー・ジラードといえば、ミッドセンチュリー期のハーマン・ミラー社を代表する建築家兼テキスタイルデザイナーである。そのジラードを語るうえで欠かせないのが、彼が世界中から集めた、膨大な数のフォークアートのコレクショ […]

03/05/2019

アレキサンダー・ジラードといえば、ミッドセンチュリー期のハーマン・ミラー社を代表する建築家兼テキスタイルデザイナーである。そのジラードを語るうえで欠かせないのが、彼が世界中から集めた、膨大な数のフォークアートのコレクションだ。彼がコレクションを始めたのは、1939年、妻のスーザンと新婚旅行で出かけたメキシコがきっかけだった。彼らが特に好んだのは、ハンドメイドの素朴なおもちゃ。鮮やかな色彩、素朴なフォルム、その土地ならではの素材や製法でつくられた木彫り、ペーパークラフト、陶器のミニチュアを、夫妻は夢中になって集めたという。
彼自身がデザインしたサンタフェの「Museum of International Folk Art」には、それらのコレクションを常設展示する「ジラード・ウィング」が設けられている。ジラードはここに10万6,000点ともいわれる全コレクションを寄贈、ウィング内のジオラマ展示についても彼自身がキュレーションを手がけた。現在、ここには彼の全コレクションから厳選した民芸品やおもちゃ、ミニチュアやファブリックなど1万点が、それぞれのストーリーや国ごとに展示されている。遠近法を効果的に用い、たとえばプエブロ・インディアンの生活スタイルを描いたジオラマでは、アドービ建築にカメラを向ける観光客を配するほど、リアリティにこだわった。
出生、祭り、葬式など、あらゆる民族の人生の節目の瞬間を、アクリルボックスのなかでおもちゃに演じさせたジラード。ジオラマの数々からは、寸劇を見ているかのような臨場感を味わえるはずだ。
Museum of International Folk Art
www.internationalfolkart.org
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