暮らすように旅する基点としてのメルカド

朝食を食べに、「11月20日市場」へ赴く。干し肉を整然と並べた肉屋の横では炭火が焚かれ、オーダーすると、すかさず焼いてトルティーヤやサルサと一緒に運んでくれる。あるいはチョコラテとパンという定番のセットを提供する定食屋も […]

09/27/2018

朝食を食べに、「11月20日市場」へ赴く。干し肉を整然と並べた肉屋の横では炭火が焚かれ、オーダーすると、すかさず焼いてトルティーヤやサルサと一緒に運んでくれる。あるいはチョコラテとパンという定番のセットを提供する定食屋もひしめき合っている。観光客だけではなく地元の人たちにとっても、メルカド(マーケット)は、毎日訪れる暮らしの中心。隣の店では常連が朝からモレを食べている。すぐ南側には民芸品を仕入れるための「アルテサニアス市場」があり、北側にはチリや乾物、チーズから衣類までそろう「ベニート・ファレス市場」がある。オアハカの街には、大小さまざまなメルカドが10以上あるという。それぞれで役割が大きく変わるわけではないが、あの市場はアジア野菜に強い、あの市場は魚が豊富といった特徴が少しずつある。最も大きなメルカドは、「アバストス市場」。毎日市場は開催されているが、週2回、近隣の村々から旬の食材を背負って村人たちが山を下りてくる。まさに「市が立つ」と、そこにはオアハカの自然の恵みが並べられる。そのバリエーションの豊かさから、多くのシェフが食材を仕入れに通う市場でもある。
市街中心地にも、生産者や食堂が10軒ほど集まって開いている「LA COSECHA」というオーガニックマーケットがあった。中庭を囲むように店が並ぶ、小さな市場ならではの穏やかさに満ちていて、ゆっくりと朝食を食べるのにも向いている。蜂蜜やハーブ類、瓶詰めなど、生産者から直接買うこともできる。メルカドは生活の中心であり、暮らすように旅をする基点にもなる。オアハカの豊かさと奥深さは、メルカドへ訪れれば、すぐに理解できる。
>> PAPERSKY #57 MEXICO, OAXACA|Food & Craft Issue