実話をもとにした映画「アイガー北壁」

グランドジョラス北壁、マッターホルン北壁、そしてアイガー北壁。アルプス三大北壁のひとつであり、最後の難所と呼ばれたアイガー北壁の初登攀をかけて繰り広げられた実話をもとにした映画「アイガー北壁」(http://www.ho […]

03/25/2010

グランドジョラス北壁、マッターホルン北壁、そしてアイガー北壁。アルプス三大北壁のひとつであり、最後の難所と呼ばれたアイガー北壁の初登攀をかけて繰り広げられた実話をもとにした映画「アイガー北壁」(http://www.hokuheki.com)が今月20日に公開され、さっそく映画館に足を運んできました。
可能な限りリアリズムを追求したというように、凄まじい臨場感をもった映像によって、1936年に起きたアルプス登攀史上最大の事件と呼ばれる悲劇が描かれています。撮影は実際のアイガーでも行われており、あまりの緊張感のため映画が終わったあとには手のひらは汗でびっしょり、風呂から上がった後のような脱力感に襲われました。
この映画には、前人未到のアイガー北壁をめぐる若い登山家の挑戦と悲劇が描かれていると同時に、当時の登山が政治的に、イデオロギー的に利用された側面をも描いています。1936年はベルリン・オリンピックの年。ナチスはアイガー北壁初登攀者に金メダルを授与することを約束し、ドイツ人の優位性を世界に示すために登山家を利用しました。アイガー北壁の初登攀がなされるのは1938年で、ドイツ人ペアとオーストリア人ペアが成功するのですが、ナチスはこの成功をオーストリア併合に利用したと言われています。また、この挑戦を高級ホテルから見物する観光客や新聞記者と実際に登攀を行うクライマーの心理的な温度差が見事に描かれているのもこの映画にリアリティを与えているように思います。
一足先にこの映画を観たという山好きの知人は「観終わった後は言葉がなかった。山をやっていなければ良かったと思うし、山をやっていてよかったとも思った」と話してくれました。何のために山に登るのか、映画を見終わった後、ふとそんなことを考えました。