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老舗のチキンライス FOOD FROM WHERE?

幼なじみの結婚式に出席するため先月、シンガポールに帰った。偶然、アジアを旅行中の日本人の友だちもシンガポールに滞在していたから、街の案内をして一緒に食事をした。外国の友だちと歩く母国の観光は、その人の趣味や性格に合った喜 […]

01/13/2011

幼なじみの結婚式に出席するため先月、シンガポールに帰った。偶然、アジアを旅行中の日本人の友だちもシンガポールに滞在していたから、街の案内をして一緒に食事をした。外国の友だちと歩く母国の観光は、その人の趣味や性格に合った喜ばれそうな場所に連れていくよりも、長い間、自分の国から離れて暮らしている自分にとっての新鮮な体験を求めることこそ、じつは楽しいのではないかと思う。
お昼は戦後の典型的な「ニュータウン」のトアーパヨーのチキンライスの老舗で。東京でもよく見かける海南チキンライスとはひと味違い、濃厚な醤油の煮こみ汁がかかっていて、ごはんが恐ろしいスピードで進んでしまう。店長は広東省の方のようで、メニューには広東人の食事に欠かせない「明火例湯」(強火でじっくり煮出した日替わりスープ)も。盛りつけのさりげなさに、ひょっとしたらうっかりしているようにも思えるかもしれないが、日本ならではのきっちりアレンジされてしまうような傾向がないこともひとつの魅力ではないだろうか。
昼食後、坂道の多いアン・シアン・ヒル(東京ならば代官山?)へ。常夏のシンガポールでは室内のショッピングモールが好まれて、にぎわっている街頭の商店街は少ないのだが、このあたりはかなり例外で若者に人気の街になってきている。一角を曲がると「ケーキ」という日本語の看板を発見。外観は真っ白でディスプレイにも家具にも清潔感が感じられ、友だちは「まさに自由が丘みたいだよね」と言った。若いオーナーに話しかけたら「来年、東京の美味しいフランス菓子のお店をまわる予定なんだけど、どこかおすすめの店はある?」と訊かれた。フランス菓子の甘みを控えて和スイーツに化している、ある種「模造品」の日本の洋菓子に、いまやシンガポールの若いカップルが魅せられて外来文化を輸入するなんて、どんな遠まわりなアプローチなんだろう、と。