FARM | 次世代のナチュラリストが実践する、新しい農業 | Retreat Style 4

ハワイ島の多彩な気候は世界各地のナチュラリストを惹きつけるが、彼らによってこの島のファーミングコミュニティも独自進化を遂げている。サウス・コナの小高い丘の上にある、「Gingerhill Farm and Retreat […]

04/23/2020

ハワイ島の多彩な気候は世界各地のナチュラリストを惹きつけるが、彼らによってこの島のファーミングコミュニティも独自進化を遂げている。サウス・コナの小高い丘の上にある、「Gingerhill Farm and Retreat」もそのひとつ。世界的な画家、小田まゆみさん(P.87参照)が切り拓いた5エーカーの農場で、クリーンナチュラルファーミングに取り組みながら、瞑想やヨガ、農作業といったプログラムを提供する。サステナブルな暮らしを学び、大地と対話し、自然の叡智を感じるリトリート施設なのだ。
2000年、長年放置されていた牧場跡地を小田さんが買い取り、開墾を始めた。現在は小田さんの息子、ザッカリーさんと、パートナーのイリスさんが農場を切り盛りする。
「大切なのは土と微生物。森が本来、保っている生命のプロセスを真似るんだ。だから僕たちは落ち葉や雑草で土壌の表面を覆う。土壌が雨で流出するのを防ぎ、土の水分量や温度を調節し、微生物を紫外線から守る」
長年にわたる実践のなかで、この土地に合致した独自のセオリーを編み出した。直線ではなくマンダラ型に少量多品目の作物をレイアウトする「マンダラガーデン」、成長の遅いカカオに最適な日陰をつくってくれるバナナやアボカドの木。時間と空間を重層的に使ったここには、“農のレボリューション”とも呼ぶべきアイデアがつまっている。
こうした営みに貫かれるサステナブルな未来への情熱、生命を育む土地への思いは、母・小田さんの作品にも通じている。今にも語りかけてきそうな鮮やかな野菜、慈愛と力強さに溢れる女神の姿。火山が破壊とすれば、土は再生。人間もそのサイクルの一端に連なることを教えてくれる。
» PAPERSKY no.56 HAWAII | RETREAT Issue