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木そのままの姿をとどめたコルクの皿|サルデーニャの手仕事(2)

Ertilaに滞在していたとき、チーズやハムなどのつまみから、バーベキューやパスタ、驚くべきことに煮込みなど汁気のある大皿料理まで、出される食事にはかならずコルクの皿が使われていた。平らなもの、反り返ったもの、大きさもさ […]

07/09/2014

Ertilaに滞在していたとき、チーズやハムなどのつまみから、バーベキューやパスタ、驚くべきことに煮込みなど汁気のある大皿料理まで、出される食事にはかならずコルクの皿が使われていた。平らなもの、反り返ったもの、大きさもさまざまで、じつに表情があり、私たちはすっかり魅了された。撥水性があるから汁気のものも平気だし、保温性があるから料理も冷めない。非常に軽く扱いやすいので持ち運びも楽。コルクの器は非常に原始的で、いいことづくめである。
コルクの生産地といえばポルトガルとスペインがダントツで、2ヵ国で世界の生産高のほとんどを占めるが、それに追随するのがイタリアだ。さらに、イタリア産のコルクのほとんどがここ、サルデーニャでつくられている。コルクをつくるにはコルク樫から樹皮を剥ぎ取るのだが、木を無駄に傷つけないよう、一度剥いだら向こう10年、その木には手をつけてはならない。最初に剥いだ樹皮(バージンコルク)は表面の凸凹が激しいことから皿の素材には適さず、粉砕して断熱材などに利用するそうだ。
さて、先述のコルク皿はすべて、近所に住むセルジオ・デログさんによるものだった。「親父もコルク職人だったから、俺は赤ん坊のころからこの仕事をしていたよ」と豪快に笑う彼に、剥ぎ取りをしてよい6~8月以外は仕事はどうしているのかと訊くと、フォレストレンジャーをやっているとのこと。後日、コルク樫の林を見る機会があって納得した。広大な林で素材の見極めをするということは、そのまま、林の面倒を見ることも兼ねるというわけだ。
Ertila
Ertila, Bitti
TEL: 0784 414558
» PAPERSKY #44 Sardegna | FOOD Issue (no.44)
Photography: Luca Gabino Text: Mick Nomura