台湾の滝、渓谷の美しさを探して｜Outdoor People in Taiwan 3

地形が複雑で雨も多く、河川の水流が強い台湾は、沢登りやキャニオニング好きにとって格別な場所だ。20年にもおよぶ登山やクライミング、キャニオニングの経験をもつジャスミン・リーは、台湾でも著名なアウトドアスポーツマニアだ。そして彼女は、台南の成功大学の敷地内にあるゲストハウス「Dorm1828」のオーナーでもあり、世界各地からの旅行者をつないでいる。
近年、さまざまな国の出身者で構成されたキャニオニングチームをつくり、台湾各地の滝や渓谷を探索している。そして、登山などで訪れるのとは異なる視点から、台湾の自然を見つめてきた。高山や渓谷を台湾島内の宇宙とするなら、その宇宙の深淵が谷であり、キャニオニング好きのジャスミンにとって、谷は心が最も穏やかになる山頂のような場所だという。また、台湾の山岳地帯は、原住民が多く暮らす地域でもあり、沢登りやキャニオニングをするだけでなく、その土地に長く暮らしてきた原住民の文化にも触れられる。彼らとコミュニケーションをとることができるという、世界に誇れる魅力もある。
記録した映像をチームメイトと見ながら、彼女は言う。登山などのアウトドアスポーツではスリルや危険ばかりが印象に残るが、基本的にルート上には最初から最後まで危険が存在するため、つねに緊張と隣り合わせだ。それでもたまに谷や崖にいるとき、自分がSFの世界に入り込んでしまったように感じ、そこから一生抜け出せないような感覚に囚われてしまうことがあると。しかし、諦めずに経験を重ねていけば、自然は私たちにいくらでも機会を与えてくれるのだ。
李佳珊 Jasmine Li
プロの登山家、クライマーとして活動する傍ら、台湾の山々の魅力を世界に向けて発信。台湾を訪れるハイカーに向けた情報提供、ゲストハウスのオーナーとしても活動している。
　
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