Day3 綾部〜天橋立 | ついに日本海！ 峠から見下ろす日本三景・天橋立

「僕も一緒に宮津まで行っていいですか？」 自転車で日本一周の経験もある昭文さんの、トラベラーの血が騒いだらしい。その日の旅の目的地、天橋立のある宮津までの同行を申し込んでくれた。旅の道中に仲間が増えるほど嬉しいことはない。まゆ香さんに車で宮津まで迎えにきてもらうことにして、人数の増えて盛りあがる僕たちは意気揚々と綾部から宮津への峠を目指した。
だが、宮津は意外と近かった。昼には着いてしまい、ここでこれまで旅のアテンドをしてくれていた京都市在住のライターKaOさんも帰ることになり、一気に人数が減る。仲間が増えるのは嬉しいけれど、そのぶん減るのは寂しい。ともあれ、僕たちはついに京都の街から日本海まで辿り着いたのだった。
その日の宿、大内峠一字観公園のキャンプ場は地図で見るとかなりの山の上だった。日本三景として有名な天橋立の松の並木道を観光気分で走り抜け、防波堤で海を眺めてのんびりし、意を決してキャンプ場への坂を登りはじめる。覚悟はしていたけれど、そんな覚悟もあっさりと崩れ去るほどの激坂で、峠に対する呪詛の言葉を吐きながら息も絶え絶えで登る。やっとのことで登りきると天橋立のパノラマが広がり、さっきまでの悪態はどこへやら、ここまで登ってきてよかったと心から思った。しかも自転車で登ってよかったと。そうじゃなければ、あんなに感動しなかっただろう。
「自転車って速いよな」と千代田さん。「さっきまであんなに遠くにいたのに、もう今こんなとこにいる。当たり前だけど、やっぱ自転車って速いよ」。
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