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ワインと踊る、バスクのダンス

18世紀、フランスの哲学者であるヴォルテールは著書に、バスクの民をこう称した。「山々で、歌い踊る人々」。11世紀までは言葉をもたなかったとされるバスク人唯一の伝承の方法が“踊り”だった。だからバスクの人々は、踊りというも […]

03/16/2016

18世紀、フランスの哲学者であるヴォルテールは著書に、バスクの民をこう称した。「山々で、歌い踊る人々」。11世紀までは言葉をもたなかったとされるバスク人唯一の伝承の方法が“踊り”だった。だからバスクの人々は、踊りというものに深い意味を見出している。実際に見ていて特徴的なステップのひとつが、ワインの入ったグラスを地面に置きその数センチ周囲で足を振る、というもの。最後には両足でチョンとグラスの上に飛び乗りフィニッシュ。曲芸のようにスピーディな踊りの最後には、そのワインを飲み干す。
サン・セバスティアンの中心部にある「ダンツァ・タルデア」は、そんな伝統的踊りを楽しむためのソーシャルクラブ。平日なら誰でもここで、ダンスを体験できるという。オイアナ・ウリアルテさんは、このクラブでダンスを教えるメンバーのひとりだ。
「バスクのなかでも約400種類の踊りかたがあるといわれています。いま踊ったのは市長、その愛人、馬などが登場する話。善人と悪人のやりとりを表現したもの。小刻みで素早いステップはすべての踊りに共通するものですね。ワイングラスの上に乗るのは非常に難しい。この踊りで使われるステップワークは、クラシックバレエにも採り入れられたほど難易度が高く美しいの。パ・ドゥ・バスク(バスクのステップ)という技としてバレエではスタンダードな技なんです」ワインを飲むのは世のなかや自分たちの悪いバイブレーションを沈めるため。グラスには神が宿り、ワインをこぼさず踊りを終わらせるのが重要だという。伝統を受け継ぐ使命より「ただ純粋に楽しいからこの古い踊りに夢中」だというオイアナさん。この楽しさを知る若いバスク人が増えればいいと、別れ際、チャーミングに笑った。

Modernist Basque Surfing teaser from debolex films on Vimeo.
This story originally appeared in Papersky No. 35.