カルチャーが交錯して生まれつつある「新しい食」

アンティークの家具に囲まれた瀟洒なダイニングルームを訪れると、アロイーズ・アルマーニはテーブルいっぱいに並べた手づくりのお菓子とともに出迎えてくれた。日本でフランス料理の先生をしていたフランス人の母のもとに生まれたアロイ […]

02/06/2014

アンティークの家具に囲まれた瀟洒なダイニングルームを訪れると、アロイーズ・アルマーニはテーブルいっぱいに並べた手づくりのお菓子とともに出迎えてくれた。日本でフランス料理の先生をしていたフランス人の母のもとに生まれたアロイーズは17歳まで東京で暮らした後、イギリスに渡ってカルチャー誌『i-D』のエディターとして働いたユニークな経歴をもつ。
「4年前、『i-D』のエキシビションの仕事で初めてブエノスアイレスに来たんだけど、すごくクリエイティブなエナジーを感じたの。経済危機の後、スモールビジネスが盛んになってきていて、魅力的だった。ちょうど自分の仕事や人生をどうしようか、なにか新しいことを始めようかと考えていた時期でもあったから、思いきって移住してきたのよ」。
移住後に彼女が始めた「新しいこと」、それは幼いころから身近にあった料理や食に関するインディペンデントな出版だった。近著『Libro de cocina』はアルゼンチンで暮らす人たちのさまざまな美しいキッチンを取材した本で、これまでのキャリアで培った彼女のアーティなセンスをいかした編集が新鮮な一冊だ。こうした新しい感覚の食文化がいま、この国で少しずつ生まれつつあるという。友人の料理家、マルシア・クリーガーがもつ素敵なキッチンスタジオでおこなっているプライベートレッスンも口コミで人気を集めている。
「毎日変わる気候や素材のようすを見て、料理を考えるのが好き。だから突然のオーダーはむしろ大歓迎よ」。大学で建築を学び、ニューヨークで料理を学んだ彼女もやはり、食に対するクリエイティブな視点をもった、新しい食文化をつくるひとり。幅広い経験をもつ人々の参加が、シーンを盛り上げる鍵になっている。
This story originally appeared in PAPERSKY’s ARGENTINA | ART Issue (no.43)