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自己管理による植物と人間の自然な関係|メフンへ Mercedes

自然や植物をテーマにした詩や絵画などの作品を手がけるメフンヘのメルセデスと、「都市のなかにある緑」をめぐるウォーキングに出かけた。彼女がまず案内するのは、道路沿いの歩道に並ぶ「植えこみ」。「この街ではそれぞれの自宅の前の […]

01/23/2014

自然や植物をテーマにした詩や絵画などの作品を手がけるメフンヘのメルセデスと、「都市のなかにある緑」をめぐるウォーキングに出かけた。彼女がまず案内するのは、道路沿いの歩道に並ぶ「植えこみ」。「この街ではそれぞれの自宅の前の歩道に、自分の好きな果物の木を自由に植えたりしてもいいの。ただし、剪定などの手入れや掃除も自分たちでやらなければならないのよ」。
道路などの公共空間は自治体が管理するのが当然と思いこんでいる日本人にとっては驚きだが、政治体制の混乱により行政システムの機能が徹底しているとはいえないアルゼンチンでは、なにごとも「自己管理」が基本。こうした行政の「管理不行き届き」がひとつの「魅力」にもなっている例として、彼女はパレルモ地区のカルロス・タイス植物園を挙げる。この植物園はかつて、区画ごとに違った植物が整然と植えられた人工美を誇っていたが、いまではさまざまな種類の植物が混在する「野生」により近い環境に変化しており、その「自然な共生」のありかたが好きだという。
「私が関心をもっているのは、植物と人間の関係。たとえば、蘭は昔は12,000種ほどしかなかったけど、いまでは育種の技術が進んで40,000種までに増えている。こうした文化はすごく興味深いけれど、その一方で、現代では巨大なバイオメーカーが遺伝子組み換え作物の開発を進めているという現実もある。植物は私たちの食の中心にあるものだから、人間と植物がともに生きることについて、もっと意識したほうがいいと思うの」。
管理のすべてを行政システムの「おまかせ」にすればするだけ、人間の暮らしと自然は遠ざかる。この街を歩けば、それがいかに「不自然」なことであるか気づかされる。
mejunje(メフンへ)
http://mejunjeando.blogspot.jp/
アルゼンチンアート|メフンへ Julian Gatto
http://archive.papersky.jp/2014/03/11/craftsman-julian-gatto/
This story originally appeared in PAPERSKY’s ARGENTINA | ART Issue (no.43)