アーレ川の美しい水とともに暮らすベルンの人々

恐ろしい形相の鬼が、子どもたちを捕まえ、口のなかに放りこむ─。およそ公共の建造物のモチーフとは思えないようなちょっと怖い噴水を指差しながら、父親が小さな娘に「いい子にしていないと、ああやって食べられちゃうんだよ」と諭して […]

02/20/2013

恐ろしい形相の鬼が、子どもたちを捕まえ、口のなかに放りこむ─。およそ公共の建造物のモチーフとは思えないようなちょっと怖い噴水を指差しながら、父親が小さな娘に「いい子にしていないと、ああやって食べられちゃうんだよ」と諭していた。この子喰い鬼の噴水をはじめ、ベルンには約100種類の噴水がある。ほかにも正義の女神の噴水や貧しい人々のための病院をつくったアンナ・ザイラーの噴水など、16世紀半ばにつくられた噴水が現存していて、それらは道徳的な意味を込めたものが多い。ベルンの人々は、毎日噴水に水を汲みにきていた。いまではすっかり観光名所になっているが、湧きでる水質は変わらず、飲むこともできる。
アーレ川の恵みで発展してきた首都ベルンの歴史は、12世紀に始まる。川がU字形に大きく湾曲している地形を利用し、ドイツ貴族のツェーリンゲン公が川の内側に要塞都市を築いたのが1191年のこと。城門の役割を果した時計塔や牢獄塔、約6km続くヨーロッパ最長のアーケード、趣向を凝らした噴水など、中世の面影を残しつつも特徴的な都市として発展してきた旧市街は、丸ごと世界遺産に登録されている。その旧市街をぐるりと囲むように流れるアーレ川は、アルプスから流れでる濃いエメラルドグリーンの美しい川。流れは急だが、ベルンの人々は夏になると川で水浴びをする。そのため、川の一部が遊泳エリアになっていて、更衣室や芝生の休憩スペースなどを完備。水着に着替えたら、上流まで歩いていって川へジャンプ。あとは水の流れに身を任せるのみ。流れ疲れたら河岸に身を寄せ、数メートルおきにあるステップにつかまる。と書くと簡単そうだが、じつは川の流れに逆らわず河岸に近づくには、なかなかの技術力が求められるそう。
This story originally appeared in Papersky’s SWISS | water issue (no. 40).