街中が待ち望む、「世界水泳2013 」の舞台をめぐって

今年7月、バルセロナ市民が心待ちにするビッグイベント「世界水泳2013」がこの街で開催される。92年の五輪同様、世界最高レベルの熱戦が眼前で繰り広げられるとあって人々の期待は高まる一方。6月初旬、僕らは会場となる場所をめ […]

08/02/2013

今年7月、バルセロナ市民が心待ちにするビッグイベント「世界水泳2013」がこの街で開催される。92年の五輪同様、世界最高レベルの熱戦が眼前で繰り広げられるとあって人々の期待は高まる一方。6月初旬、僕らは会場となる場所をめぐり、しだいにヒートアップする関係者の声を聞いてまわった。数ある競技のなかでもとりわけ注目を集めているのがハイダイビング競技だ。現地で飛びこみ競技の選手として活躍するアドリア・クローサはこう説明してくれた。「僕の専門は高さ10mからのノーマルな飛びこみ競技だけど、ハイダイビングは27mもの高さから飛びこむ。クレイジーだよ。重力を感じない時間がたまらなくてこの競技を続けているけど、僕には27mから飛び込むなんて無理だ。飛び込み競技で最も重要なのはメンタル。怖がらないでリラックスすることが大事だけど、あの高さじゃ難しいと思う。それだけに見物だけどね」
ハイダイビングの会場となるのは目の前にあるポートベルという港。もともと世界各地のダイビングスポットで開催されていた「クリフダイビング」という競技になぞらえ、屋外でおこなわれる。海面に達するころには時速100kmを超えるというほどスリリングな競技が、街のど真ん中で見られるのだ。
世界水泳のメディア担当を務めるアンデル・ミランベルは、この大会がバルセロナで開催される意義をこう語った。
「ハイダイビングはエンターテインメント性も抜群だ。通常の飛び込み競技だって、美しい街を一望できるモンジュイックのプールで開催される。つまりTVでだって、競技そのものとバルセロナの風景が楽しめるってこと。五輪によって世界から俄然、注目される街になったのをきっかけにバルセロナは大きく変わった。世界水泳でも同じようなことが起こると思うし、世界中の観客やTVの視聴者にはこの街の景色や人々の熱気もたっぷりと感じてほしいね」
アンデルに連れられ、次に訪れたのは今年100周年を迎えるスイミングクラブ「Club Natacio Athletic-Barceloneta」。ここは大会の表彰式や出場選手の着替え場所として使われるとか。聞けば、スペイン最強の水球チームを所有する伝統のクラブ。この国では日本とは比べものにならないほど水球の人気が高く、リーグ戦、カップ戦など多くの試合を国中のチームが1年中、戦う。「Athletic Barceloneta」は現在、リーグ8連覇中の強豪だ。今年2月、このプールで年に一度のカップ戦決勝がおこなわれた際には会場が満員になったほど。92年の五輪でスペイン代表男子チームが銀メダルを獲って以来、競技人口も増えつづけているという。やっぱり五輪の影響は計り知れない。あのときからバルセロナは新たなタームに入り、スポーツへの情熱が街を活性化させるという認識はいっそう強まったといえるだろう。
大会運営の中心組織、FINAのメルシ・バレスは、かつて自身も水球の代表チームでプレーしていたアスリート。迫るビッグイベントへの期待についてこう語ってくれた。
「バルセロナでいちばん人気があるスポーツはもちろんサッカー。だけどサッカーより得点シーンが多いから私は水球を見る方が好き(笑)。そんなファンは私だけじゃなく年々、増えてきていると思う。大会の1カ月半も前に70%以上のチケットが売れたのは、競泳だけじゃなく、飛び込みや水球といった競技のどんな部分がおもしろいかを知っている人が多い証拠。そういう意味でも世界水泳が開催されるにふさわしい場所だと感じてる。いま、私たちが立っている港から、海でおこなわれるハイダイビングやオープンウォーターが見られると思うと楽しみでしかたない。海と街が一体となったバルセロナならではの大会になると思うわ」
通常は4~5年かかるといわれる大会の準備を、2年で終えてしまったというスポーツシティ。世界最高峰の戦いを真近で見て、ウォータースポーツを楽しむ人がまた倍増するはずだ。この夏、またバルセロナは大きな変化を迎え、さらに活気あふれる街へとなっていくに違いない。
Special thanks: FINA, Speedo®
» PAPERSKY’s BARCELONA | SWIM Issue (no.42)