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アーティストが支え、伝えていくクラフトの現在

オアハカの民芸品の多くは、織物、陶器、刺繍といったように、それぞれ村単位で支えられている。伝統工芸として代々伝えられたものを守りつつ、近年では、レストランや海外からのオーダーによって、その伝統を少しずつアレンジする傾向も […]

09/13/2018

オアハカの民芸品の多くは、織物、陶器、刺繍といったように、それぞれ村単位で支えられている。伝統工芸として代々伝えられたものを守りつつ、近年では、レストランや海外からのオーダーによって、その伝統を少しずつアレンジする傾向も増えている。根本的な製法は変わらないが、そこに洗練された視点を加えることで、現代のクラフトとしてバージョンアップされるもの。たとえばアツォンパ村の陶芸家、フランシスコの作品は、母から習ったという伝統的な製法に則りつつ、独自の個性を発揮していた。オアハカの中心部のセレクトショップでも作品として扱われ、「作家」として仕事をしている。
また、アーティストが工房の運営に携わるという現象もオアハカの民芸の新しい芽を育てている。オアハカを代表する画家、フランシスコ・トレドはエトラ村の手漉き紙工房「Arte Papel Vista Hermosa」の設立にも関わっていた。近隣に生えている果物や豆、藍などで染め、バナナやアガベなどの自然素材を繊維として使う手漉き紙は、トレド自身の作品に用いられることもあり、多様な試みが技術革新にもつながっているという。ガラス工房「XAQUIXE」は、オアハカ市街で出される廃ガラスを用いてリサイクルガラスによる製品を生み出し、市内のレストランなどにも卸している。オーナーはアメリカ人のアーティスト、クリスチャン。食用廃油を精油して燃料として使ってガラス工房のエネルギーを賄うなど、作品ができ上がる過程についても新しい視点を広めていた。クラフトの街の最先端は、素朴なもののよさを深く知るアーティストや外からの目によって、より射程距離の長い民芸品へと育っていく。
>> PAPERSKY #57 MEXICO, OAXACA|Food & Craft Issue