リアムとハイライン「ふしぎなガーデン(The Curious Garden)」

ニューヨーク、マンハッタンの西側、ミート・パッキング・ディストリクトに2009年6月にできた空中庭園、The High Line。今回の目的地はピンポイントでここ。ハイラインは1930年に着工、33年に完成した、NYを縦 […]

02/22/2010

ニューヨーク、マンハッタンの西側、ミート・パッキング・ディストリクトに2009年6月にできた空中庭園、The High Line。今回の目的地はピンポイントでここ。ハイラインは1930年に着工、33年に完成した、NYを縦断する貨物列車のための高架鉄道。役割を終え1980年に運行が廃止された後は解体される予定がそのまま放置されていた。そこにはいつの間にか手付かずの自然が生まれ、それを整備し生まれた緑溢れるハイライン・パークはNYの新しい観光名所になりつつある。
「ふしぎなガーデン(原題はThe Curious Garden)」の作者、ピーター・ブラウンはアメリカのニュージャージー出身のイラストレーター/作家。子どもの頃から動物の絵を描くのが大好きだったという。
最初のページは1980年代のNY の様子。霧や煙に霞み緑も見えない暗い雰囲気。その当時の状況を反映して治安も悪いのか、人の姿も見えない。
この街に「リアム」という名の男の子がいた。外で遊ぶのが大好きな彼がある日、古い鉄道の下を歩いていると、線路へ上がる階段を見つける。もちろん彼は上がってみる。そこには、朽ちた線路、そしてあたりには枯れそうな植物を発見する。この日からリアムは植物たちの世話をはじめる。手をかけるほどに草や木は育ち、ついには自分たちが“庭”になったと思い自ら“探検”を始める。線路だからどんどん進んでいくことができる。こうしてページいっぱいに緑と青空が広がっていく。冬を越すと、庭は線路の上だけでは我慢できなくなり、街に出る。街のみんなが、次々と植物を育て始め、ついには街中に緑が・・・というストーリーだ。
このストーリー、ハイラインパーク成立の話がモチーフになっている。人が入らなくなったハイ・ラインの線路や敷石に好き放題に生える草木を市民たちが自主的に手入れをするようになった。それがついにはニューヨーク市が公式にそこを公園として再利用しようと決めたというのが顛末。
都市における自然と人との共生という現代的なテーマを、一人の思いという最も身近なものから考えさせてくれるファンタジーだ。
The High Line
http://www.thehighline.org/

The Peter Brown Studio
http://www.peterbrownstudio.com/
ふしぎなガーデン—知りたがりやの少年と庭
ピーター・ブラウン作 千葉茂樹訳 
ブロンズ新社 
2010年
The Curious Garden
Peter Brown
Little, Brown Books for Young Readers
2009
写真 2枚目
(C)Ryan Somma
http://www.flickr.com/photos/ideonexus/4083424611/